作り手の哲学を感じる、SPEEDAの可能性にかけてみたい
伊藤 竜一(以下「伊藤」):
僕は前職でマネージメントに失敗し、チーム崩壊を起こしたことがあるんです。それをきっかけに、「自分に組織マネージャーは向いているのか」「求められているマネージメントは自分の目指している世界とあっているのか」と考え直していました。
そんなとき、失敗も成功も全てをさらけ出せるエージェントと出会い、ユーザベースを紹介してもらったんです。SPEEDAが世界を変えるという直感的な確信と共に、事業や組織が自由でアグレッシブな環境であること、スタートアップながら、採用の初期からおせっかいなほど人に手厚い安心感も、意思決定の後押しになりました。
西川 翔陽(以下「西川」):
僕はもともとSPEEDAユーザーだったんですが、前職で部署異動した際、事業戦略立案用途で久しぶりにSPEEDAのトライアルを申し込んだことがきっかけです。営業担当のメンバーと何度か飲むうちに、新野さん(新野 良介/ユーザベース共同創業者)とも飲む機会をセッティングしてくれて、経営者としての考え方にひかれましたね。
前職がメーカーだったので、さまざまなプロダクトを見てきましたが、良いプロダクトからは作り手の哲学を感じるんです。「使い手であるユーザーにこうなって欲しい」という想いをSPEEDAから感じ、世界で使われるイメージが持てたので入社を決意しました。
チーム崩壊。そこから見えてきた自分らしさ
伊藤:
ものすごく厳しい環境でも、新任マネージャーとして5人のメンバーを率いて戦っていたときは、とても結束感がありました。ただ、10人を超えた頃、スキルを重視した採用で人材を急速に増やした結果、優秀な人達が集まったものの、組織は分裂してしまったんです。
原因は、尖ったメンバーをマネージメントできるような器・能力が自分になかったこと。採用にカルチャーフィットを重視することの大切さも痛感しましたね。この経験から、規模が大きな組織をマネージメントするのではなく、自分の勝ち方を第一線で切り拓きながら未来を創るチームを引っ張っていくスタイルが「自分らしさ」だと気づきました。これは大きな学びですね。
僕の好きな言葉に「過去は変えられる。未来は変えられない」というのがあります。
過去の定義は変わっていくので、過去は解釈なんです。当時は苦しくても、3年経って「あのときの経験が糧になっている」と振り返ることができ、次に生かせるなら、それは素晴らしい過去。失敗した当時はつらかったですし、迷惑をかけた仲間に詫びる気持ちもいっぱいですが、今はとても感謝すべき経験だったと思っています。
現在、自分がマネージメントしているBusiness Developmentチーム(※)は、SPEEDA Japanの売上成長を最も引っ張る組織へと成長してきました。この成果は、失敗経験を自己認識したことで、自分らしい成功モデルを確信できた結果だと思っています。
未経験から1年で営業・マーケティングチームのマネージャーへ
西川:
組織マネージメントは本当に難しいですよね。今はセールス・マーケティングチームのマネージャーをしていますが、手探りの中で仮説と実践を繰り返しています。マネージメントの成果はメンバーの力をどれだけ発揮させられたか、成長させられたかです。
ここ数ヶ月くらい、各メンバーが日々成長するためのシミュレーションを作り、トライ&エラーを繰り返したことで、2018年上半期は僕のメンバーが1番成長したんじゃないかなと思っています。それは昇進という意味でも。
僕はもともと経営企画・戦略立案を経験していたので、営業は未経験でした。だけどやってみて、SPEEDAの営業は新しい事業価値の提案者だと気づいたんですね。僕らがやりたいのは、商品を売ることではなく、国内外の企業の意思決定プロセスを変え、事業価値を高めていくこと。SPEEDAの提供は、ひとつの手段でしかありません。
お客様が抱えている課題に耳を傾け、どうしたらその課題を解決できるのかを一緒に考えていく。これを愚直に実行していくことで、営業未経験であっても成果を出せたのだと思っています。
また、新たな取り組みとして、今年SPEEDAコミュニティも立ち上げました。我々がお会いするお客様は、社会に大きな影響を与えている方ばかりです。そのお客様同士が横でつながり、交流が生まれるのは価値が高い。その交流を通じて得られるリアルなニーズと、前職で培った経営視点を生かし、マネージャーとしての新たな挑戦をしている最中です。
挑戦する切符をつかむためのブレイクスルーとは
西川:
たしかに、企業規模や組織体制、カルチャーなどさまざまな理由で、自由に挑戦できないケースもあるかもしれません。でも、企業が社会に求められている役割というのは確実にあると思うんです。ただ、現状はミッションに対して組織体制や企業のケーパビリティが合致していない企業が多いように思います。
個人として出来ることは、所属している企業が社会に求められている役割を追求し、それを実行する体制や戦略を考えて、提言すること。その力を持てるよう努力を重ねることが大事だと思います。
伊藤:
入社2~3年目くらいのまだ知識や経験が浅いうちに、多くの成功体験を作ることがブレイクスルーにつながると思います。なぜなら、意思決定や行動は、圧倒的な自信がないと十分に発揮できないと思うから。若手のうちに自分の代名詞となるような突き抜けた経験ができれば、そのあとのキャリアは自然に積み重ねられるのではないでしょうか。薄い経験しかない状態では、中庸な人になってしまうと思います。
僕が恵まれていたのは、前職であるメーカーの専任営業になったことです。その企業にひたすら向き合い、1つひとつ成功体験を積み上げたことが、今の自信につながりました。
一方で、ミドルになってくると、自分で声を上げないかぎりは何も起こりません。発言権も組織の中でのポジションも若手時代よりあるはずなので、失敗しても良い前提で、腹を決めて進んでみることが大切だと思いますよ。
リカバリーできる体制を整えられなければ、チャレンジすべきフェーズではない
西川:
失敗するのが怖いというのは、危機と機会に備えきれてないということです。危機は何にせよあります。思い通りに行くことはほとんどない。ただ、その傷をおさえる準備はいくらでも出来ると思うんです。危機への備えを怠らなければ失敗は怖くないはずで、それをやりきれてないのであれば、まだチャレンジすべきフェーズではないと思います。
伊藤:
そうですね。失敗しても、リカバリーできる体制を整えておく。あてずっぽうに進んでも、得られるものは少ないでしょう。「失敗してもいいや」と思えるかどうかは、やはり圧倒的な自信があるかどうかにつきると思っています。
失敗できないと思っている人は、そこそこ出来る80点人材で、100点ではないんだと思うんですね。だから、突き抜けた成果を出すことに目を向けるべきではないでしょうか。
伊藤:
昔、漢文で習った言葉に「禍福は糾える縄の如し」というのがあり、これをいつも頭においています。つまり、「禍と福は編まれている縄のように交互にやってくる」ということ。だから、調子の良い時ほど気をつけて、調子の悪い時こそ「次は何か良いことがある」と信じるようにしています。
前向きに、どれだけ未来に期待をもって進めるか。良い時ほど何かが起こった時にリカバリーできるよう準備をして進めば、困難な波も乗り越えられると思っています。
西川:
僕は大きな決断をする時、頭の中に3人の自分をおいて考えるようにしています。たとえば、18歳の自分と現在の自分、65歳の自分。そして、人生100年の時代なので、80歳くらいかもしれないですけど(笑)。つまり、それぞれの年代でその決断を見つめた時に何を考えるかを話し合わせます。
18歳は、『竜馬を行く』を読んで野心や夢にあふれているような思考で、現在の自分は、実利ベースで考えます。家族もいて、私欲もある。そして65歳は、私欲から達観し、リタイヤフェーズの自分を想像し、大義があるかどうかを見る。その決断を通じた未来は意義のある人生だったか、と。3世代の視点でメモをしながら頭の中で会話をして、意思決定をしています。
今後2人が見つめている先とは
伊藤:
今年から新たな挑戦として、パラレルワークをスタートし、CMO(Chief Marketing Officer)としても働いています。SPEEDAの営業とパラレルワークの両輪を高速にまわすことで、双方の仕事における成長の加速度をあげたいですね。
両輪にすることでシナジーを生み、結果を出せば、一段上のチャンスをつかめるはず。自分の得意領域をのばしつつ、その領域から出て、数十億円規模の事業を作りたいなと考えています。
また、少し違う話ではありますが、以前、新野とよくキャリア相談をしていた時に1つ約束したことがあります。それは、40歳で本を出版すること。そのためにも、自分にエッジを立たせて、世の中にない新たな価値をこの5年で作っていきたいですね。
西川:
我々のミッションである「経済情報で、世界を変える」の実現には、欧米と中国のマーケットは避けて通れません。そのため、ミッション実現のための楔(くさび)をSPEEDAでもしっかり打っていきたいと考えています。
加えて、能力があるにも関わらず、社内説得材料の作成業務に追われてしまっている人たちに向けて、きちんと才能を発揮できる環境をつくりたい。そのような環境があれば、これから日本企業が立ち向かわなければならない、いくつもの課題に対する回答が、各企業でもっとスピーディーに生まれてくると信じています。