満を持しての交代
千葉:
ユーザベースには、ミッション・バリューに共感して入社しました。最初の僕の役割は、上場もして、グローバルM&Aも果たしてどんどん大きくなる経理財務(Accounting&Financeチーム)の体制を整えることでした。経理財務という仕事は1年をとおしてやっとどんなイベントがあるのかがわかるので、ひたすら村上さんにサポートしてもらっていた感じです。
村上:
私から見た千葉さんの印象は、とにかく冷静だということ。会社の規模も大きくなり、昨年はQuartzのM&Aなど大きなイベントもありましたが、千葉さんはその都度冷静に判断し、チームの状況も見ながら適材適所に人材を配置していました。その結果、とても強固な信頼で結ばれたチームができ、これからの10年でさらにグローバルカンパニーになるユーザベースの基盤ができつつあると思います。
グローバルカンパニーのCFOとして「やるべきこと」をやる
千葉:
迷いがなかったと言ったら嘘になります。1つは、これまでユーザベースのコーポレートをつくってきた村上さんと同じことができるかという点。でもこれは、同じ役割・能力じゃないからこそ、僕らしさを発揮することが大事だと思います。具体的に言うと来年はグローバルで決算を迎える初年度になるのですが、この経験は村上さんにもないですし、社内の誰にとってもチャレンジングです。だったらみんなで議論しながら、ユーザベースらしいやり方をつくっていけばいいかなと。
2つめは、経理財務のイベントを1年しか経験していないこと。これは毎年起こる出来事は変わるので、いつかは覚悟を決めるしかない。
最後の3つめは、僕自身が「管理だけの人」じゃなくて、もっと事業寄りのキャリアを志向していたことです。でも例えば今アメリカに行ってQuartzのCFOをしている太田(智之)も、「事業がわかるCFOになりたい」と言ってSPEEDA事業で経営を経験し今はQuartzのCFOをしていますし、山中(山中 祐輝/SPEEDA Japan COO)も三菱商事で経理をしていましたが、今はSPEEDAの日本事業を引っ張っています。要は「やるべきことをやる」ことが大事なんだと思っています。
迷ったら挑戦する道を選ぶ
村上:
私自身、ユーザベースに入社する前から独立志向がありました。そこを元同僚の新野さん(新野 良介/ユーザベース共同創業者)に誘ってもらって、40人ぐらいしかいない会社のコーポレート部門の立ち上げや東証マザーズへのIPO、グローバルM&Aなどたくさんのことを経験させてもらいました。
ユーザベースも創業10年を超え新しいフェーズを迎えるなかで、自分の中でやはり挑戦したい気持ちを抑えられず、いよいよ独立するタイミングが来たのではないかと思い、経営陣や千葉さんに相談させてもらった次第です。
私が持っているこの経験や、ユーザベースでつくってきた仕組みや制度は、日本のスタートアップにとって最先端のものが詰まっています。今後はこの経験をもとに、さまざまなスタートアップの支援をしていくつもりです。ユーザベースは大好きな会社ですので、私が価値を発揮できる部分がある限り、ビジネスパートナーとして引き続き関わっていく予定です。
千葉:
私自身も前職や前々職でIPOやバイアウトを経験してきたので、そういうニーズがあることはすごく理解できますし、非常に価値のある挑戦だと思います。
ユーザベースのコーポレートづくり、これからの挑戦
千葉:
まず僕が担当するAccounting&Financeチームのところで言うと、グローバルで全メンバーが正しく意思決定できる、財務の基盤をつくりあげます。たとえばSPEEDAの過去の契約ID数や、NewsPicksの有料課金ユーザー数などの重要KPIを、国境関係なく誰でも・いつでも参照できるようにします。
スタートアップあるあるだと思うのですが、ユーザベースのシステムは「うなぎ屋の秘伝のタレ」のようになっていて、必ずしもスマートとは言えない状況です。これを昨年立ち上げたコーポレートエンジニアリングチームなどと一緒になって、日本にいても海外にいても正しい情報にアクセスでき、意思決定できるようにしたいと思っています。
村上:
そこはやってみないとわからないですが、ユーザベースの良いところは、まずやってみて、何かうまくいかないのであれば、そこを改善していくサイクルが徹底されているところです。
たとえば共同創業者の新野は2014年、共同代表のままシンガポールの立ち上げに移住しましたが、会社としての大きな悪影響は出ませんでした。自走できるプロフェッショナルが集まっているからこそ、逆に成長できる環境にできているのだと思います。
千葉:
リモートマネジメントがうまくいかないのは、マネージする側とされる側で明確に分かれている場合だと思います。ユーザベースではそもそも出社義務もないですしリモート勤務が当たり前なので、実際は「何が変わったの?」という程度かもしれないですね。
村上:
ユーザベースにいて本当に嬉しいのは、こうしてチャレンジする人を応援してくれるというカルチャーです。CFOという立場だった私が独立を相談したときも、経営陣を含めてみなさんが応援してくれたのは、感謝しかありません。
ユーザベースのことはこれからも大好きですし、私に価値があると感じていただける限りは、ビジネスパートナーとして関わり続けていけると嬉しいなと思います。
千葉:
スキルや経験もあって、かつバリューが合ったメンバーというのはなかなか得難いので、こちらとしても嬉しいですね。とはいえ突然、「すみません。代わりの人が採用できたので契約更新なしで」となるかもしれませんが(笑)。
(一同笑)