ユーザーから、ユーザーとの共創を生み出す側へ
瀬木 桃子(以下「瀬木」):
私が入社したのは、FORCASというプロダクトが生まれる前でした。SPEEDAのいちプロジェクトとして開発を進めていたときに、テストユーザーとして利用していたんです。いろいろといじりながら、こういう機能が欲しい、こうしたらマーケターは使うんじゃないか、とディスカッションに参加していたのが始まりです。
小田切 香澄(以下「小田切」):
FORCASの提供を開始するにあたり、まず立ち上げたのが「カスタマーサクセスチーム」でした。ユーザーを獲得できても、フォロー体制がなければ解約につながってしまいます。適任者を探していて、テストユーザーとして関わりのあった瀬木さんの名前が挙がったんです。
そこでFORCAS立ち上げのメンバーとの交流の場を持とうと作戦を立て、餃子パーティーを企画しました。FORCASの現役員陣とTechチームに瀬木さんというメンバーで餃子をつくって食べながら、最近どうなの? と潜在的な転職意欲を探る感じで。わかりやすいアプローチですけど(笑)。
瀬木:
男性陣の中に女性1人。今考えると不思議な会でした(笑)。でも、とても良い機会でした。エンジニアメンバーとも関われて、楽しそうだし誠実でいい人が多いなと肌で感じることができたので。餃子パーティーが9月で、入社は11月。話をもらってから、1ヶ月くらいで決めました。
瀬木:
嶋田さんは、私が1年くらいかけて誘いました。FORCASのカスタマーサクセスチームで必要とされるのは「知識」と「コミュニケーション」。実はテクニカルサポートの要素が強いんです。MarketoやSalesforceを使いこなせて、かつ人と難なく話せる。この2つが揃う人材は、とてもレアだったので。

瀬木:
嶋田さんとは、前職時代のMarketoのユーザー会で交流がありました。チームで人を増やしたいと考えたとき、一番に頭に浮かんだのが嶋田さんでした。そこで、会うたびに「最近どうですか?」「そろそろ今の仕事も長くなりますね」と探りを入れていたんです。
小田切:
わかりやすい(笑)。
嶋田 真弓(以下「嶋田」):
私の前職でもFORCASを導入していましたが、私は直接の担当ではなくて、利用していた同僚を横目に見ている感じでした。
瀬木さんから声をかけてもらったのは、そろそろマーケからジョブチェンジしたいと考えている時期でした。でも顧客と折衝するようなフロントの仕事はやったことがないので、喋れるのかな?という不安があったんです。「今はできなくても、やりたい気持ちと上昇志向があれば大丈夫」と言われて、一歩を踏み出せました。
「お客様の声を開発に反映する」の一歩先にあるもの
瀬木:
セールスが受注したお客様を引き継いで、FORCASをきちんと活用できる状態になるまでの3ヶ月間伴走します(オンボーディング)。まずはキックオフでお客様と顔合わせをし、マーケ施策や営業効率化など、FORCASを通じてお客様が実現したいことはさまざまなので、その場で3ヶ月の具体的なゴールを設定します。
瀬木:
その上で初期設定のサポートを行います。細かな日々のコミュニケーションは、Slackを通じて返答。オンボーディング期間中に、設定したゴールを達成するための具体的なアクションまで落とすことを目標にしています。1対Nではなく、1対1でコンサルしている状態です。
瀬木:
スピード感を重視したいので、お客様ごとの担当分けはしていません。特定のお客様の問い合わせにどちらかしか答えられないと、お客様が「今」解決したい問題に答えられなくなってしまうので、現状は二人のどちらが対応しても良いようにしています。
瀬木:
お客様にしてみれば、担当が誰であっても正しい回答がより早く分かるほうが嬉しいですから。
嶋田:
Slackでコミュニケーションを取っているので、自宅でも緊急の問い合わせに対応する場面もあります。もちろん会社から強制されているわけではありませんが、自分がユーザーだったら……と考えると、答えずにはいられないんですよね。どれくらい工数がかかるもので、どれくらい大変か?、そのイメージが湧くのは、ユーザーからジョブチェンジした強みかもしれません。
瀬木:
FORCASは「ユーザーとの共創」がプロダクトの根幹にあって、お客様の声を受けた開発スピードがすごく早いのが特徴です。
嶋田:
カスタマーサクセスとTechチームがすごく連携しているので、必要な開発はすぐに動いてもらっています。開発後にお客様からもらう声は社内で共有するので、最初に問い合わせを受けたマーケティングもインサイドセールスもTechチームも、みんなで喜びを共有できるんです。
瀬木:
「抽象化」を意識しています。
瀬木:
ユーザーから上がる「もっとこうしてほしい」「こういうのがあったらいいな」という声をそのまま開発側に伝えても、私たちが介在する意味がありません。もう少し抽象度を上げて「それはこういう機能があれば、解決できますよね」と提案して、お客様の賛同が得られたら開発要望として上げるようにしています。
小田切:
開発リソースには限りがあるので、カスタマーサクセスがTechチームと一緒にお客様の要望を整理しているんです。
瀬木:
お客様から挙がる「この表示をこっちに変えたい」「こっちとこっちのボタンは逆がいい」といった “点” の要望は、あくまでも表面上の課題。それをそのまま開発にのせてしまうと、FORCASのコンセプトとずれてしまう可能性もあります。
瀬木:
そうなんです。「FORCASの目指す未来」と「ユーザーが ”今” やりたいこと」のギャップをどう埋めていくか考えて、その2つが ”線” になる提案をするようにしています。
瀬木:
要望を出してから反映されるまで、普通は1年くらいかかるとみんな思っていますよね。それが2〜3ヶ月で「ここまではできるようになりました」と報告できています。
小田切:
全部は実現していなくても、進んでいるのが分かる。進捗を伝えられているよね。一歩一歩着実に進んでいる感じです。
嶋田:
はい。でも本当は、もっと驚かせたいし、もっとやりたい! これはFORCASのメンバーみんなが思っているはずです。

ユーザーのためになる施策なら、なんでもやる
瀬木:
今は導入から3ヶ月間の立ち上げをサポートしていますが、その先の施策も打ちたいです。導入直後のような張り付いてのサポートは難しくても、コミュニティ化や、こちらからのアプローチなどやり方はあると思っています。
嶋田:
今はお客様から来るプル型の問い合わせには答えられていますが、こちらからプッシュする形で「分からないことはありませんか?」「進捗は大丈夫ですか?」というような声かけはできていません。いつの間にか当初やりとりしていた担当者が転職して、音信不通・後任不明になってしまうこともあるんです。
瀬木:
FORCASって、毎日使うサービスではないんですよね。毎日使うツールは、立ち上げさえうまくいけばユーザーの日常に溶け込んでインフラ化しやすい。でもFORCASはターゲティングや意思決定を支援するツール。下手するとデータ更新が四半期に1回というケースもあります。
瀬木:
何か状況が変わってから、いくらアクションを起こしても、すごくパワーがかかったり、手遅れだったりします。初期に契約いただいたお客様の契約更新を初めて迎えた2018年に、ようやくその事実に気がつきました。立ち上げだけではなく、継続的にコミュニケーションをとる必要があるなと。
嶋田:
まずは通年の目標を一緒に立てること。これまではオンボーディング期間3ヶ月のゴールを設定していましたが、その期間後にも使うイメージを持っていただけるよう、1年後や2年後のゴール設定をします。

瀬木:
最近はチームごとに役割を分けはじめました。1つは現在と同じくオンボーディングに特化して、テクニカルサポート的に1日も早い立ち上げを支援するチーム。もう1つはカスタマーサクセスパートナー。立ち上げ期間終了後も、定期的にコミュニケーションをとるチームです。
瀬木:
1対1でなくてもコミュニティを組織したり、成功事例をコンスタントに発信して活用のイメージを持ってもらったりしていきます。まだ今年の1月に立ち上がったばかりのチームなので、試行錯誤中です。
嶋田:
FORCASのコミュニティ自体は実はすでにあるんです。ただ全ユーザーが集まる機会は、年に1回しかありません。FORCASと併用しているツール別の分科会もありますが、どうしてもそこに属しきらない方や、そういう場が苦手な方もいます。ユーザー主導の分科会と、こちらが意図してユーザーに会う勉強会のようなものは両方やっていきたいですね。
瀬木:
やりたいこともやれていないことも、まだまだたくさんあるんです。言い出したら、キリがないくらい。
嶋田:
お客様のことを一番に考えて、「ユーザーとの共創」を促進する施策であれば、正直なんでも良い。そのマインドは揃えながら、トライアンドエラーを繰り返しているところですね。
瀬木:
私は、もっとお客様の信頼に応えたいと思っているんです。お客様のやりたいことに寄り添って、時にはFORCAS以外の他社ツールのサポートをすることもあります。そこで信頼関係が築かれると、無茶を言ってくるお客様もいません。「導入設定を一緒にしてくれるなら、僕たちが行くから時間をください」と言っていただくことも少なくありません。
これはFORCASのプロダクトへの満足や、期待の表れだと捉えています。だからこそ、それに応えたい、もっとクオリティを担保したサービスを提供していきたいと思います。