SPEEDAが経てきた3つのフェーズ
山中 祐輝(以下「山中」):
SPEEDAは創業メンバーの新野・梅田の原体験から生まれたプロダクトです。
2人が投資銀行やコンサルティングファームで膨大な調査・分析業務に追われ苦労した経験から、ビジネス情報もGoogleのように直感的に検索できるようなサービスがほしい──昔の自分たちにとって、本当に喉から手が出るほど欲しかったものを作ろうと生み出されたのがSPEEDAです。
創業から5年間ほどは、プロフェッショナルにとっての「must have」になることを目指し、ひたすらプロダクトを磨くフェーズ。
2012年以降のセカンドフェーズでは、「経済情報で、世界を変える」というユーザベースのミッションのもと、「世界」にチャレンジ。世界を目指すにあたって、まずはアジアでNo.1になろうと意思決定をしました。
同時期、国内マーケットでは変化が起こり始めました。プロフェッショナル向けのツールとして使われていたSPEEDAが、事業会社でも使われるようになったんです。
山中:
創業当初の計画にはあったものの、このタイミングで広がっていったのは意図していたわけではありません。プロフェッショナル出身者が事業会社に転職し、そこでもSPEEDAを使ってくださることが増えてきているようです。
セカンドフェーズは、海外展開と、国内の顧客ドメインへの横展開によって市場拡大をし始めた時期。
3つ目のフェーズは多角化フェーズ。
このフェーズは、国内で事業会社の方々に使っていたく中で、明確な壁にぶつかったところから始まりました。
SPEEDAを使ってくださる事業会社の部門は、大きく分けて2つ。経営企画と営業・マーケティング部門です。しかし、これらの部署ではリサーチの業務がプロフェッショナルに比べて量も頻度も少ないため、プロフェッショナルほどSPEEDAを使い切れないという問題が出てきたんです。
何とかしたいと本格的に動き始めたのが2015~2016年頃。ユーザーが事業会社まで広がったことによって、ユーザーの抱える課題も多様化しました。
ユーザベースのバリューでもある「ユーザーの理想から始める」に立ち返って、ひたすらお客様の話を聞きに行きました。話を聞くうちにユーザーの新たなニーズや課題が見えてきて、それを解決するためにentrepedia(運営するジャパン・ベンチャー・リサーチ社をM&A)やFORCASという新規事業が生まれました。これが3つ目の多角化フェーズです。
第2創業期、SPEEDAの飛躍的成長に必要な3つの鍵
山中:
SPEEDAそのものを、アップデートする。それによって、よりお客様の課題に深く刺さっていくような成長をしていきたいですね。
社内では「第2創業フェーズ」と話しています。それくらいジャンプアップして、SPEEDA事業を伸ばしていきたいと考えています。
SPEEDAのミッションは、「世界中の意思決定を支える」です。意思決定には情報を「集める」「分析する」「意思決定する」という3つの段階があるとしたら、現状のSPEEDAが提供できている価値は、「集める」と「分析する」を効率化する部分だけです。
もちろん、それ自体も非常に価値はありますが、どんなに効率化できても、意思決定そのものは変わっていきません。意思決定が変わらなければ、企業は変わらない。
だから僕たちは、SPEEDAを「意思決定」に直結するようなプロダクトに変えていきたいと思っています。
たとえば、SPEEDAがあったからこそ、こんなM&Aができた、新規事業が産まれた、海外進出できた――こんな価値はまだほとんど作れていません。こういう価値を生み出すためには、足りないものがたくさんあります。
山中:
大きく分けると3つあります。
1つは、コンテンツ力。
例えば新規事業を立ち上げる際の意思決定において、既存産業の現状はSPEEDAで調べられますが、その業界が将来的にどうなっていくのかという未来の情報は提供できていません。
昨今のビジネス環境では、既存の業界だけで何かを生み出すことは少なくなりました。業界横断的な変化やテクノロジーのトレンドをキャッチアップしていかないと、なかなか新しいものを創造するのは難しいと思います。
さらに、海外展開を検討する際には、現地での法規制や国の政策などが意思決定の重要なポイントになります。そういった情報は、現状のSPEEDAに十分にありません。
コンテンツを拡充させていくことによって、「SPEEDAを見れば、意思決定に直結するような情報がある」、この状態を作ることが重要だと思います。
2つ目は、「価値のあるコンテンツがあったとしても、現在のSPEEDAで本当にユーザーに届くのか?」という課題です。今のSPEEDAはデスクトップのサービスで、プロフェッショナルの方から「使いやすい」と評価いただけています。
一方で、事業会社で初めてSPEEDAを使う方にとって、分かりやすいUIになっているかというと、まだまだ改善点はたくさんあります。Googleのようにシンプルな画面かというと、非常に複雑で難しい。そういった感想をよくいただきます。
経営者や営業の方など外出が多い方もユーザーに増えてきたので、モバイルアプリにした方がいいのではないかとか、APIを提供してユーザーさんがお持ちのデータと自動連携させるとか、届け方を工夫できることはたくさんある。ここを変えていくのが2つ目です。
3つ目は、カスタマーサクセス。コンテンツ(1つ目)と、プロダクト(2つ目)を進化させても、それらの情報を扱うユーザーのことを正しく理解していないと、誰も欲しくないコンテンツ/機能をつくることになります。「喉から手が出るほど欲しいサービス」をつくるためにも、僕らはカスタマーサクセスを圧倒的に強くしていかなければならないと考えています。
コンテンツ、プロダクト、カスタマーサクセスの3つを進化させることで、SPEEDA事業を圧倒的に伸ばしていきたい――これが現在のSPEEDAが目指しているビジョンです。
SPEEDAは顧客に明確な価値を届けられる
山中:
ざっくり言うと「カスタマー」「コンテンツ」「プロダクト」の3つに分かれています。
カスタマーはお客様との接点の部分。セールス&マーケティングやカスタマーサクセスのチームが含まれます。
コンテンツは、オリジナルコンテンツを作るチームと、外部から情報を取得する2つのチームがあります。
プロダクトは、いわゆるエンジニアチーム。プロダクト開発のチーム、インフラ周りを担当するチームの他、デザイナーや、データサイエンス分野でSPEEDAの価値をより高めていくようなチームがあります。
山中:
COOという立場で、事業のマネジメントを担当しています。組織を横断的に見て、各チームのパワーを最大化するミッションを持つSPEEDA内のコーポレート組織を管轄しています。CEOの稲垣(稲垣 裕介/ユーザベースCo-CEO)と背中を預け合いながら、さまざまな経営アジェンダも見ている形です。
山中:
基本的に提供しているサービスは変わらないので、プロダクトとコンテンツのチームは日本とアジアで一体となっています。
明確に違うのは、いわゆるカスタマーサイドです。ここは明確に組織を分け、SPEEDA AsiaのCEOとして内藤さん(内藤 靖統)がいるなど、執行体制も分けています。
ただ、誰に向けてどんな機能 / コンテンツを作るのかは、日本とアジアでバランスを取っていく必要があるので、そこは稲垣さん、内藤さん、CTOの林さん(林 尚之)を始めとする経営チームでディスカッションしながら決めています。
山中:
嬉しいことに、SPEEDAには応援してくれるユーザーさんがたくさんいます。それまで感じていた非効率な業務が、SPEEDAによって解放される。そんな原体験を持った方が、ファンになり、最終的にはジョインしてくれるケースが増えてきています。
単にSPEEDAのファンだから転職してきたというよりは、「もっとこう変えればSPEEDAはよくなる」「SPEEDAをこういう風に変えていきたい」という強い意志や意見を持ってジョインしてくれる方が多いですね。
SaaSが「永遠のβ版」と言われるように、SPEEDAも常に進化し続けるプロダクトです。先ほど話したように、まだまだ余白がある。ポテンシャルの塊です。SPEEDAの未来を自分が作るんだ、という感覚で働けるのが、醍醐味だと思います。
山中:
やはりSPEEDAのミッションにワクワクできる人ですね。ビジネスにおける意思決定を変えていくことに意義を感じられれば、SPEEDA事業はめちゃくちゃ面白いと思います。
ユーザーの方や採用面接等でSPEEDAをお見せした時に「素晴らしいサービスですね!」と言われることも多くてすごく嬉しいのですが、むしろ「ここを変えた方がいい」「自分だったらこういう機能がほしい!」と言ってくれる方が嬉しいですね。
今に満足せず、常にサービスを進化させていきたいというパッションを持った方と、ぜひ一緒に働きたいです。