「誰もがビジネスを楽しめる世界」を探索するコーポレートマガジン
カオスながら最高の組織で「エンタープライズといえばユーザベース」と言われる世界をつくりたい

カオスながら最高の組織で「エンタープライズといえばユーザベース」と言われる世界をつくりたい

2024年1月にSaaS組織を大きく変革したユーザベース。今回は、INITIAL(現 スピーダ スタートアップ情報リサーチ)のインサイドセールスから、大企業グループ総合支援組織(Large Enterprise Domain/以下「LEND」)へ異動した佐藤磨央に、LENDでのやりがいや難しさについて聞きました。「正解のない気持ち悪さと向き合うことが、よくも悪くもやりがい」。組織転換から6ヵ月を経過した今、佐藤が組織に対する想いを語ります。

佐藤 磨央

佐藤 磨央MAO SATOスピーダ事業 大企業グループ総合支援組織 Account Executive Division 通信キャリアチーム 通信キャリアインサイドセールスユニット リーダー

明治大学商学部を卒業後、新卒で東日本電信電話株式会社(NTT東日本)に入社。
代理店営業/営業企画/新規事業開発を担当。
2022年9月、スピーダ スタートアップ...

MORE +
目次

「使えるおっさんでいたい」ビジネスパーソンとして成長するためユーザベースへ

はじめに、ユーザベースに入社するまでの経歴を教えてください。

前職は東日本電信電話株式会社に在籍していました。理由は安定して働けると思ったから。新卒で入社したんですが、業務に熱意があったわけでもなく、自分を成長させたいという思いは、実は全くありませんでした。
 
でもあるとき、その考えがガラッと変わることがあったんです。
 
当時は新規事業開発部門で営業企画を担当していたんですが、とあるSaaS企業と協業する機会があって。先方とやり取りする中で、彼らの業務に対するマインドやステークホルダーコミュニケーション、意思決定の速さなど、全てにおいて自分は負けているなと感じたんですね。
 
東日本電信電話株式会社様は今でも好きだし、とても素敵な企業ですが、自分はその名前の上にあぐらをかいていたんだなと。このままだとビジネスパーソンとして、ひとりで生き抜くことができないと確信し、違う環境で働こうと思って転職を決めました。

いろいろな転職の選択肢がある中で、なぜユーザベースを選んだんですか?

一番は、自分が最も成長できそうだと感じたからですね。僕の中でSaaS業界における強いビジネスパーソンのイメージが、「THE MODEL(※)」の考え方が身についている人だったんです。THE MODELの各領域──マーケティング・インサイドセールス(IS)・フィールドセールス(FS)・カスタマーサクセス(CS)で成果を出せる人は、どこにいっても活躍できるんじゃないかと。

THE MODEL:SaaS企業に最適化された営業組織モデル。セールスフォース社が実践していた営業手法をもとに、福田康隆氏が体系化したもの。

強いビジネスパーソンとは具体的にどんな人物なのかを考えたとき、何歳になっても「佐藤磨央」という人間が使える状態でいたいと考えていました。入社後に作田さん(作田 遼/スピーダ事業 大企業グループ総合支援 執行役員)が「使えるおっさんでいたい」と話しているのを聞いて、自分もまさにそうだなと思ったんですよね。
 
ユーザベース以外にもSaaS企業で有名な企業はありますが、最終的には「人」で選びました。面接してくれた人たちの仕事や組織、人に対する姿勢が素敵だなと思ったんです。

ユーザベースに入社して、ビジネスパーソンとして成長を実感できたことはありましたか?

そうですね。ステークホルダーコミュニケーションと意思決定については、成長できたと思っています。
 
特に成長を実感したのは、マーケティングのメンバーと一緒にセミナー施策に携わったときですね。当時、セミナーは商談やPL(パイプライン/有効商談)につながるチャネルにはなっていなくて。僕がそのセミナー施策のオーナーになったので、どうすれば商談やPLにつながるのか、その「変数」の特定をしようとしたんです。
 
入ってきたリードに対してアプローチした結果、商談獲得できないのはなぜかを分析し、PDCAを回していったんですが、意思決定の回数は前職にいたときの2〜4倍に増えました。打席に立つ回数が増えたことで、意思決定の精度が磨かれたと思います。
 
ステークホルダーコミュニケーションの観点でいうと、セミナー開催をする際はISだけでなくFS、CSといったいろいろなステークホルダーがいますよね。みんなが何を望んでいるかを把握してアラインしないとステークホルダーを動かすことはできないし、成果が生まれないことを強く実感しました。

LEND佐藤磨央

LENDで感じる「答え」を定義する難しさとやりがい

INITIALからLENDへの異動の話が持ち上がったとき、どう思いましたか?

それまでやってきたことが評価されて、新しい組織にアサインされることになったんだと、単純に嬉しかったですね。一方で迷いもありました。

当時のISチームが本当に好きだったんですよ。私の人生のテーマは「好きな人と好きなことをする」なので、完全にそれが実現できていて。メンバーみんなで成果を出して組織を大きくしていこう! もっと盛り上げていこう! というタイミングだったので、めちゃくちゃ迷ったんですよ。
 
じゃあなぜLENDを選んだのかというと、「使えるおっさん」になるためにもコンフォートゾーンを抜け出さなければいけないと思ったからです。 

ユーザベースのThe 7 Valuesにある「迷ったら挑戦する道を選ぶ」を、僕はすごく大事にしているんですよ。コンフォートゾーンに居続けたら100%成長はないし、スキルの拡張につながらないと考えていました。それに、「好きな人と好きなことをする」範囲が拡大すればするほど私はもっと幸せだし、今のメンバーがもっと成長した状態で仕事ができるとも考えていて。

コンフォートゾーンである当時のチームから出て、LENDに異動することは、自分だけでなく、組織やチームのためにもなるんじゃないかと思ったんです。
 
当時の上司だったたもちさん(田本 圭史朗/現 経営企画・金融機関・コンサルティングファーム支援組織 IS Division Seminar&Offline Teamリーダー)も僕が成長したいと思っているのを知っていたので、そこを慮って「LENDに行け」と背中を押してくれました。

LENDに異動して意思決定の複雑さが増したのではないかと思うんですが、実感としてどうですか?

「答えがない気持ち悪さ」が一番しんどいですね。たとえばISではなくカスタマーリレーションといった新しい職務を担うことになったとき、職務の定義やOKRの設定もわからないので、まずは近い職種のCSのメンバーから先行事例を聞いて、「正しそうなもの」を定義して、それが合っているかどうかの検証をしていくんです。
  
もうひとつ、ステークホルダーが増えたことによる大変さですね。ひとつのアカウントに複数のチームが関わるわけですが、それぞれのチームで戦略や方向性、意思決定の仕方が異なります。その中で、自分たちのやり方で進めることが果たして正しいのかどうか、日々試行錯誤しています。
 
現在は作田さんと一緒にLEND ISのイネーブルメント(育成の仕組み)をつくっているんですが、すごくやりがいを感じています。今ないものを定義するために、組織やチームを巻き込んで、PDCAを回しながら「答えっぽいこと」を探しにいく。苦しさはありつつも、充実しています。

ここまで、INITIAL ISとLEND ISとの違いをどう感じていますか?

INITIALのときはマーケティングも強いしリードも入ってくるので、ISは基本的にセミナーやインバウンドで入ってきたリードに向き合えばよかったんですね。
 
でもLENDでは、リードの獲得も含めてISが起点になるので、営業担当とともに顧客ターゲットを決めてリードを取りにいく必要があります。受動から能動に変わった感覚ですね。
 
あと、INITIALのときは対象のお客様は、スタートアップとの協業を求めている企業だったので対象範囲が狭かったんですが、LENDの対象はエンタープライズなので、先方の事業部によって見ている方向がまるで違う。どの事業部にどう当たれば響くかが、それぞれ違うんです。
 
当然ですが、企業・部署・事業によってやっていることやミッションが異なるので、彼らが何をしたいのかをきちんと捉えたうえで、適切な課題解決策を提示していかないと商談は取れません。難しいですが、ヒリヒリしつつ、毎日ワクワクしています。

LEND佐藤磨央
冒頭で「将来使えるおっさんになりたい」という話がありましたが、改めてLENDに異動したことで自分自身の市場価値はどう成長したと思いますか?

定量と定性の部分で2つあります。
 
定量の部分でいうと、自分自身リーダーという立場で組織や売上に対してインパクトを与えられますし、自分が取った行動が明確に受注につながっている点でも市場価値が高まっていると思います。
 
定性の部分では、今後「エンタープライズセールスにおけるIS」を定義できれば、より市場価値は上がるのではないかと考えています。そもそも今、世の中にエンタープライズセールスの「型」がないので、ユーザベースがそれを定義して成功の「型」を作れるんじゃないかとワクワクしているんです。
 
これらを実現するには、答えがない中での複雑な意思決定を常にする必要があると思っています。かつ、たとえばLENDのイネーブルメントとして取り組んでいる施策を「正解」にするために、いろいろな人を巻き込んで定量の成果を出し続ける必要があります。それが自分の市場価値向上やビジネスパーソンとしての成長につながるんじゃないかと思っています。

聞いているだけで大変な取り組みに感じます。

しんどいですが、チームのみんなと一緒だからできると思っています。僕は今のチームも大好きだし、このチームであれば困難なことにも挑戦できると信じています。
 
僕は「人」がものすごく好きで、その人が「変わる」瞬間が好きなんです。副業で就職支援をしているんですが、自分が介在することで、その人の何かが変わったと感じる瞬間がすごく幸せなんですよ。
 
だから、メンバーたちを見ていて「何とかしてタイトルを上げてあげたいな」とか、「今やっていることを市場価値向上につなげてあげたいな」と思うんですよね。それが結果的に、自分たちのチームだけじゃなくてほかの組織にも影響していく。その広がりが嬉しいですね。

信頼関係のもとに「健全な衝突」ができる最高の組織

LENDの組織が立ち上がって半年、引き続きヒリヒリする状況とのことですが、LENDで活躍している人は共通してどんなマインドセットを持っていると感じますか?

顧客に興味ある人が多いですね。それから、答えがないことに対して向き合えるかどうか。答えがないという気持ち悪さと共存して、それでもやり抜くことができる人が活躍できると思います。
 
たとえば、組織としてやるべきイシューを自ら特定して取り組める人。ISでいえば、ISの評価軸は現在商談とPLの数なんですが、組織としてはそれ以外にもやらなければいけないことはあるんですよね。
 
今すぐ成果が出るかわからないし、評価につながるかもわからないけれど、組織としてやらなければいけないことを理解してコミットメントできる人は、きっと成長・活躍できると思っています。

軸を自分に置くのではなく、お客様に置くということですね。

そうですね。実際、お客様の成長のためなら面倒な社内調整も苦じゃないと思える人が多いですね。
 
最近、前職の方々向けのプライベートセミナーがあって、そこに参加した方が「評価はメンバーがつくりあげていくものだ」とおっしゃっていたんです。なぜかというと、決められた評価の中で動こうとするとその範囲でしか動けない。しかも上司が決めた評価が合っているかもわからない。
 
でも、たとえば僕たちが「正解っぽいこと」をして、それが正解になって売上につながったら、それを評価にすればいい。だから、チームでBig Dealをつくるために取った行動こそが「正しい行動」だし、正解になっていく。それこそ本質だよねと。
 
そこで成果を出せたら自分のケイパビリティは確実に上がるし、LENDでやっていることは将来的に「使えるおっさん」になるための手段になりうると思っています。

LEND佐藤磨央
LENDの成長は今後ユーザベースが再上場するためのカギになると言われていますが、LENDのリーダー陣は現状をどう見ているんでしょうか。

まず、LENDが立ち上がった2024年1月からの半年間で、チームのコンディションがものすごく良くなったと思っています。チームに一体感が出てきたし、目標達成のために自分たちがすべきことにコミットメントしようとしています。
 
LENDが立ち上がったばかりの頃は、業務も複雑化して残業が増え、かつ正当に評価されるのかという不安に耐えられず、不平不満を持つ人もいました。みんな疲弊していたし、見ていて辛かったですね。
 
でも、僕はその雰囲気に流されてはいけないなと思っていたし、吉田さん(吉田 佑弥/LEND 通信キャリアチームリーダー)は吉田さんで、絶対にマネジメントを諦めなかったんです。
 
僕が半年間見てきた景色としては、吉田さんが正解だと考えた行動を、メンバーが「これほんとに合っているんだっけ?」と思いながらも取り組んだ結果、それが正解になっていき、その結果、吉田さんとメンバーの間に信頼関係が芽生えて、チームが前に進み始めたと思っているんですよね。
  
以前、佐久間さんがUzabase Journalで「適切に衝突できるチームが健全だ」と話している記事を読んだんですが、吉田さんのおかげで今のチームでもそれが体現できていると思います。メンバー同士お互いに信頼し合っているので、衝突してもリスペクトをもって解決に向かうことができますね。

「エンタープライズといえばユーザベース」と言われる組織に

LEND立ち上げから半年、現時点での課題はどこにあると思いますか?

そうですね。エンタープライズセールスの価値とLENDでの業務の社会的意義を理解することが課題です。そのうえで、みんなもっと自信を持ってほしいと思います。

僕はLENDの仕事はすごく意味のあることだと思うし、ユーザベースで働いていること自体、誇りに思っています。僕自身の業務も、AE(Account Executive/営業)の業務も、LENDで働く誰もが本当にすごいことをしている。でもみんな、それを認識していないように思うんですよね。

どうすればみんなが自信を持てるようになるんでしょうね。

成果を出すことですね。今はまだ答えがないから自信が持てないだけで、成功体験を示せたら、気持ちの持ち方が変わる気がします。
 
だから、僕ら通信キャリアチームとしても、とにかくBig Dealに集中していこうと。そのためにISの枠を超えて、チーム一丸となって死力を尽くそうと思っているので、僕は今から下期がめちゃくちゃ楽しみですね。「やってやるぞ!」と思っています。

これから再上場に向けて、LENDをどんな組織にしていきたいですか?

「エンタープライズセールスといえばユーザベース」と言われるようになりたいですね。
 
LENDの営業メンバーがお客様の内側まで入り込んで、個社セミナーをして現場レベルまで施策を落とし込むことで、お客様の社内で、ユーザベースとともに小さな成功体験を積み上げ、変革を起こしていこうというストーリーができつつあるんですよ。それがすごくワクワクします。
 
こうした成功体験が積み上がることで「エンタープライズセールスといえばユーザベース」という絵が描けていくと思うんですよね。
 
ユーザベースとして目指すゴールに向けてLENDが重要なカギを握っていて、そこに重要な役割として携われるのはすごく嬉しいことだし、「使えるおっさんになる」という個人的な思いとも明確につながっているので、顧客も組織もチームも自身も、自身の取り巻くステークホルダー全てにおいてWinが生まれる世界を、ALLユーザベースで創り上げていきたいです。

LEND佐藤磨央

編集後記

インタビューしたいという依頼に「マジっすか!」と喜んでくれた磨央くん。ユーザベースのメンバーは快くインタビューを引き受けてくれる人がほとんどなんですが、その中でもめちゃくちゃ喜んでくれました。

インタビュー中もインタビュー後に社内で会ったときも、「メンバーが大好きなんですよ!」と語ってくれて、周りのメンバーも「記事めっちゃ楽しみです」と言ってくれたのを見て、いいチームなんだなと思いました(聞いているこちらが思わずニコニコしちゃうくらい)。今後のLENDの進化にめちゃくちゃ期待しています!

執筆:宮原 智子 / 撮影・編集:筒井 智子
Uzabase Connect