機は熟した。「ユーザーの理想からはじめる」顧客起点での組織転換
太田 智之(以下「太田」):
先日の佐久間さんのインタビューで、「パーパスの実現にはユーザベースのすべてのプロダクトの価値を結集する必要がある」という話がありました。かつ、「顧客の戦略を事細かに理解し、グループ会社を含めた顧客組織のあり方も理解する必要がある」と。
さらに、経済情報分野における競合他社のサービスについても理解して、場合によっては外部のサービスとユーザベースのサービスを組み合わせて提案をしていく必要があると言っていました。これらを実現するためには、現状のプロダクト縦割りの組織だと難しい。だから組織転換する必要があるんだというのが、佐久間さんの組織転換に関する考えでした。
そこに付け加えるとすると、このタイミングでの組織転換は「会社としてそのステージに到達したから」だと思っています。
これまでのユーザベースの組織は、事業の立ち上げには最適な形だったと思います。でも今は大企業の経営パートナーとして伴走していけるくらいに組織も事業も大きくなったし、ケイパビリティ(組織力)も上がってきた。何より、当社のプロダクトが顧客にとってなくてはならない経済情報インフラになってきた。
これまではプロダクト起点で、企業や業界の調査をするのはSPEEDA、スタートアップの情報を調べるならINITIAL、顧客ターゲティングならFORCASと、それぞれ便益を明確にしていました。
でもお客様からすると、分析するときにスタートアップを入れる・入れないは考えないですよね。たとえば、M&Aを検討する場合、大企業も中小企業もスタートアップも含めて見ていきたいわけで、「SPEEDAとINITIALが分かれているのはなぜ?」と思うわけです。
そうしたお客様のニーズに対して、しっかりとソリューションを出せるだけのケイパビリティが備わってきたんだから、顧客起点の考え方をしようと。それによって我々のバリューである「ユーザーの理想からはじめる」が実現できると考えたことが、今回の組織転換の背景にあります。
過去にも何度か顧客起点の組織転換に挑戦はしてきたんですが、いずれもうまくいかなかった。そもそも、SPEEDAもFORCASも売るのが難しいんですよ。複数プロダクトで顧客ニーズに応えようとすると、メンバーのケイパビリティを上げる必要があるんですが、過去はそのケイパビリティを持ったメンバーが十分にはいませんでした。
太田:
2023年6月に、SaaS事業の経営陣が集まって意思決定を行いました。私がジョインした当時は200名ほどの社員数だったユーザベースも、いまは全体で1,000名を超える組織になっています。だから、まず経営陣が一枚岩になって、そのうえでレイヤーごとに落としていかないと”事故る”と思ったんです。
ただ、この会議ではみんないろいろな想いがあって、必ずしも全員が諸手をあげて賛成したわけではありませんでした。そこから1ヵ月強、喧々諤々の議論をして、みんなが腹落ちしたうえで意思決定にこぎ着けました。
そこから1ヵ月単位で経営合宿(オフラインの長時間ミーティング)をして、8月末には1つ下のレイヤーであるリーダー層に組織転換についての意思決定を伝え、執行役員全体とリーダー層を含めた合宿をしました。その後、9月22日のUB DAY(四半期に1回開催する全社総会)で全社に共有したという流れです。
守屋:
個人的には歴史的快挙といえるスピード感だったんじゃないかなと思っています。
6月にSaaS経営陣に集まってもらったタイミングで、佐久間さんが顧客起点組織への転換コンセプトを説明したときに、みんな総論としては理解できる。でも各自プロダクト別の事業CEOとして想いを持ってやってきた人たちなので、プロダクト起点の組織から、顧客起点の組織に大きく変わっていくことについて、すぐに腹落ちできる状態ではなかった。本当にそれでいいのか? という気持ちもあったと思います。
要は、みんな「できない理由」なら、すぐに100個くらいは挙げられるような状態。その状態からスタートして、毎月合宿をして、どんなリスクがあるか全員吐き出してもらったうえで、「実現できるとすれば、どんな理想に近づくのか」、そして「どうすれば実現できるのか」を話し合っていったんです。
6月の時点で、まだ誰もどうすれば実現できるのかわからない。そんな状態から3ヵ月でこの大きな変革の実現プランを「決めきる」ことって、ふつうの会社ではなかなかできないと思うんですよね。ちょっと手前味噌ですけど(笑)。
もちろんヒリヒリするシーンもありながらですが、3ヵ月でまとめて2024年1月から新体制をスタートできる状態まで持っていけるのは、自社ながらすごいスピード感だと思います。
太田:
そうですね。メンバーの多くはユーザベースに入社したというよりは、SPEEDAやINITIAL、FORCAS、MIMIRといった各事業に入ったという想いがあって、プロダクト愛が強いんです。でも今回の組織転換は、ある意味「プロダクトとつながった事業」の形がなくなってしまう。これはすごいインパクトですよね。
だからこそ、ユーザベースとして何を成し遂げたいか、パーパスをつくっておいたのはとてもよかったですね。いろいろな場面でパーパスが引き合いに出されましたし、それに紐づくバリューの力を感じました。
社内のキャリア選択肢を増やし、挑戦できる組織に
太田:
9月の段階では顧客起点組織に転換しましょうと言って大枠の組織の形であるDomainという「箱」は決まっていたんですが、それ以外は白紙でした。
組織が変わるので、誰がどこに異動するかバイネームで決めていかなければいけなかったんですが、1人ひとりのWillを大切にしたいということで、ものすごい量のコミュニケーションを取りましたね。ただ、各Domainの責任者が自分の組織をつくっていくうえで、責任者が全メンバーと1on1して決めていくのはこの規模の組織ではワークしません。
なので、最初に役員陣の間でたくさんの議論をして全員が腹落ちして意思決定したように、今回の組織再編が「ユーザベースの未来をつくる上でベストだ」と各自が”自分事”として話せるように、経営陣からリーダー陣へ時間をかけてコミュニケーションを行い、そのストーリーに共感し、自分事としてリーダーからメンバーに話していくという階層的なコミュニケーションを徹底して行っていきました。
たとえば大企業グループ総合支援(以下「LEND」)であれば光岡さん(光岡 亮介/SaaS事業 執行役員)、経営企画・金融機関・コンサルティング(以下「CFCD」)であれば千葉さん(千葉 信明/SaaS事業 上級執行役員)と川口さん(川口 荘史/SaaS事業 上級執行役員)からリーダーに伝え、リーダーからメンバーに伝えていく。そうやって階層化して広げていきました。
太田:
Domainリーダー、Divisionリーダーが組織設計を考え、メンバーのWillを引き出していきました。
社員数が1,000名を超えるので、「メンバー1人ひとりのWillも大切だけど、トップダウンで決めないとワークしないのでは?」という議論もあったんです。でもそれはせずに1人ひとりのWillを引き出して、腹落ちしてもらったうえでアサインしていきました。
守屋:
1人ひとりのメンバーにコミュニケーションをしていく必要があるリーダー自身も、大きな方向性は理解・納得していても、内面ではいろいろな葛藤を抱えながらプロジェクトを進めていく必要があったと思います。いろいろなことを、ものすごいスピード感で同時並行で進めていたんですよ。通常1〜2年かけて準備するようなプロジェクトを、3ヵ月で決めにいくという、ギリギリの中で進めている感覚でした。
太田:
ユーザベースにはすでに年間売上が1億円を超えるお客様が何社かいらっしゃいます。こうしたお客様を今後どれだけ増やしていけるかが当社のエクイティ・ストーリーとして非常に大切です。一方で、そもそも今のメンバーで、大企業の経営パートナーとして伴走できる顧客数はどれくらいが適切なのか? という現実にも向き合いながら議論していきました。
LENDはある意味、顧客起点組織の代名詞的な組織です。組織転換後のDay1でどれだけの企業数を担当できるのか。それによってLENDに必要なメンバーが決まるんですよ。
この設計が非常に難しい。本当はもっとたくさんの企業をLENDで担当したいけど、そのためにはものすごくたくさんの人員が必要になります。そうすると、ほかの組織に人が足りなくなってしまう。そんなせめぎ合いと議論を繰り返しながら決めていきました。
太田:
LENDは複雑性が高いので、大きく賭けて、もしうまくいかなかったら、会社全体の大きなリスクになります。だからLENDで担当する企業数は、二転三転しながら慎重に決めてきました。
ただ、2024年の1月1日が最終形というわけではなく、むしろスタートなんですよね。ここからLENDという組織は大きくなるし、ほかのDomainも大きくしていく。そこで重要なのが人の育成です。キャリアプランのなかで、LENDとほかのCustomer Domainをどう位置づけるか。
一方で、今回の組織転換によって、これまでにはないキャリアプランを描けるようにもなります。
守屋:
そうですね。最終的には、もっと大きく多様なキャリアを描けるようにしていきたいんです。
これまでは、プロダクト別のカンパニー体制だったので、カンパニーを跨ぐ横の異動がしやすい状態ではなく、たとえばFORCASに入って「やり切った」と思った人が次のキャリアアップを考えたとき、他社への転職という選択肢を取りがちでした。
でも、SaaSをひとつのカンパニーにしたことで、広くタテ・ヨコ・ナナメにもキャリアの動線を用意しやすくなっていくので、転職ではなく社内で新たな挑戦をしやすくなると考えています。
たとえば、代表的なものとして考えているのは、Customer Domainでインサイドセールスからフィールドセールスに異動し新規のセールス活動の経験を積み、KAD(KeyAccount Division)で大手顧客のアカウントプランの推進経験を積んだ後に、LENDに異動して超大手顧客に対して複合プロダクト提案をしていくような、エンタープライズセールスに向けたある意味「縦」のキャリアパスの実現。
1つひとつのポジションに必要なスキルを明確化していって、担当顧客規模が大きくなるにつれて求められる目標金額も上がっていく分、タイトル・給与も上げていける。異動に伴い積める経験と身につけられるスキルがクリアになり、タイトル・給与もあげていくことができるようなキャリアパスを1人ひとりが描き実現できるようになる。
外部採用だけでは拡充が難しいKADやLENDのAE(Account Exective)職に対して、中で経験を積んだ人のキャリアアップの異動希望者が増え続けていくようにできたらと考えています。
ほかにも、CFCDでSPEEDAを通じて顧客の競争戦略を支援したのちに、知財・研究開発支援 Domain(以下「IPRD」)で顧客の知財・研究開発支援をし、法人営業・マーケティング支援 Domain(以下「SMD」)で顧客の営業戦略の支援をしていき、さまざまな顧客課題を支援していくような「横」のキャリアを志向する人がもっといてもいい。もちろんどの領域でもその職種のエキスパートへの道や、リーダー(マネジメント)への道もある。
これらを、全てのSaaS Companyメンバーが、自由に描いて実現しやすい状態をつくっていきたいと思っています。
守屋:
はい。LENDは超大手顧客にAllプロダクトを提案していく難易度の高い役割であり、外部採用だけでなく中からの育成・キャリアパスの整備によって強いエンタープライズセールスのドリームチームを創っていきたい。
かたや、LENDで担当する超大手顧客のみを優先するという話ではなく、各Customer Domainの担当する顧客も等しく大切にしていくという大前提の考えがあります。
LEND以外のCustomer Domainで担当する顧客群も一般的には大手企業と言われるエンタープライズ顧客群も多いですし、それぞれの提案難易度も一般的には高いものが多い。なので、LEND以外の各Customer Domainでもシニアなインサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスの人員は必要になります。
あらゆるチーム内でメンバーが成長し、チーム外にもどんどん人を輩出していく意識を、組織全体でより強く持てる状態をつくっていく必要があると思っています。
現状は、誰もが自由に長期的なキャリアを描けるようなキャリアパスがまだ十分に整備されておらず、Domainを跨いだ選択肢を持ちづらいので、それをやりやすくしていきたいと思っていますが、画一的なやり方はしません。たとえば、インサイドセールスを極めたい人がいるのもいいし、マネジメントを目指したい人がいてもいい、担当する顧客をSMB(Small and Medium Business/中小企業)、MID-Market(中堅企業)、エンタープライズと変える経験を積みたい人がいてもいい。
インサイドセールスひとつとっても、3つの幅──職種内での幅、職種を転換しながら成長していくという幅、領域転換できる幅を持たせて自分の未来を意識できるよう、メンバーのキャリア設計を起点に考えていくのがよいと思っています。
守屋:
大きくふたつの意図があります。SaaS全体ではいま約600名のメンバーが在籍しており、2024年はさらに100名以上を採用する予定です。
まずひとつ目は、採用した人たちが着実に戦力化すること。ふたつ目は、SaaSの組織転換によって役割が新しくなった異動メンバーの戦力化です。これまで扱ってきたプロダクト以外について理解し、提案できるようにならなければなりません。ここにも育成二ーズがあります。
このふたつを再現性のある形で実現していくことで、事業と組織の成長に再現性を生み出していけると考えています。
これを実現するために、横串で育成の仕組みを整える必要がある。これまではSPEEDA、FORCASのセールスの中にだけイネーブルメントの組織がありましたが、ここである程度型化したものをHRに移管して、全体最適でSaaSイネーブルメント組織として組み直そうとしているんです。
SaaSイネーブルメントでは、まずクリアなロードマップを描き、育成状況やキャパシティをモニタリングできる仕組みをつくり、育成やキャパシティにおける課題を早期発見して打ち手を打っていけるようにしようと考えています。
たとえば業績にネガティブインパクトを与えうるリスクを先行指標で先んじて見られるようにしていくだけでなく、何が課題で、育成における問題は何なのか、どういう打ち手を打つべきなのかを、SaaS経営会議、各Domain経営会議で、タイムリーにモニタリングできるるようにする。あとはDivision単位でモニタリングすべき指標を常に見られる状態をつくる。それに適応した形でイネーブルメントプログラムが組まれ、運用が回っている状況を整えたいですね。
「マッチョな組織」ではなく、「サステナブルに成果を上げられる組織」へ
守屋:
僕の中では、当初想定している範囲の中で概ね進んでいる感覚が強いですね。もちろん、常にリスクはあるんですが、それを含んだ状態でもうまく進んでいるのではないかと捉えています。
ただ、組織転換自体が相当速いスピードで進んでいるので、役員やリーダーを中心にかなりストレスがかかっているはず。その糸が切れないようにする必要があると思っています。ユーザベースは、戦略とやるべきことが具体的に決まれば、自走できる組織です。そうしたコミット力が強い一方で、人の内面、組織の内面に対するケアはまだまだ弱い状態だと思っていて。
今回SaaSカンパニーのミッションとDomain単位でのミッションを改めてつくって、メンバーを採用するときも、チームをリードするときも、自分たちの言葉でしっかり語れるようにしていきたいですね。
そのためにも、特にお客様と直接関わることの多いCustomer Domainは、役員とリーダーが相互理解を深める場や、チーム単位での合宿を設けるなど、対話の「場」をつくってほしいと思います。
太田:
前CEOの梅田さん(梅田優祐/ユーザベース共同創業者)が、創業当時からユーザベースを「自走できる組織にしたい」と言っていたんですよ。それを脈々とやってきたことが、いまに効いていると思っています。この「自走できる組織」なくして今回の組織転換はできなかったでしょうね。
ただ、新体制には混乱がつきもの。特にオペレーションは大変だと思うんです。そうした混乱時に、いい方向に考えて動ける人と、なかなか動けない人が出てくると思っています。そこをしっかりケアしていくことが重要だと考えています。
守屋:
おっしゃる通り、突き進みすぎるとマッチョな組織になりがちなんですよね。ついていける人たちはいいんですが、それ以外は葛藤に押しつぶされてしまう可能性もある。2024年は全体として、よりサステナブルに成果を上げられるように意識していきたいと思っています。
守屋:
9月のUB DAYで、佐久間さんがメンバーから出たすべての質問に回答して、「悩んでいることも話していい」という「場」を醸成してくれました。
MIMIRはSPEEDAと融合したあと、多くのメンバーがユーザベースに出向となり、今回のSaaS融合を機に転籍になりました。当時はみんなポジティブに頑張る方向でコミュニケーションしていたので、ネガティブなことを言いづらい空気があったと思います。
そこで、SaaS組織転換前にmeme(MIMIR版全社ミーティング)を開催して「頭ではわかるけど、寂しいですね」と言える環境をつくりました。僕も川口さんも葛藤があったし、不安だった。だから、それを言ってもいいんだよと。
愛着ある組織が大きく変わってしまうので、頭で理解できても心が追いつかなかったり、寂しい思いがあったりするのは当然です。ただ、その想いを1年も2年も引きずりたくはない。寂しいと思えるような組織で働けていたことを誇りに思いつつ、新たにミッションを掲げて、もっといいチームをつくっていきたいとみんなが思えるといいですよね。
顧客起点組織に転換するからこそ、チャンスは広がる
太田:
困難もありますが、1つひとつ課題を解決していくこと自体が成長につながります。みんなすぐに結果を求めがちなんですが、やっぱりプロセスも重要で、チャレンジ自体を楽しみながらやっていくマインドセットであってほしいです。
僕は2017年に入社してSPEEDAの日本事業の責任者に就任したんですが、当時はメンバーの数がちょうど100人くらいでした。創業間もないスタートアップから数段階経てワイワイガヤガヤ的な組織から、1人ひとりの役割が明確で「組織」として動き始めた感じの事業ステージでした。その後、隣でFORCASが産声を上げたとき、「すごく楽しそうだから、FORCASに移りたい」というメンバーがたくさんいたんです。
そのとき伝えたのが、「(立ち上げ初期の)FORCASからはSPEEDAのこの景色は見えていないんだよ」ということでした。山はどんどん上に登っていかないと新しい景色が見えない。顧客にインパクトを与えたいなら、高い山でも登っていかないといけないんです。
よく「大企業はつまらない」という言われ方をしますが、そんなことは全くない。世の中に与えるインパクトは格段に大きいですから。自分の楽しさのために仕事をするのか、世の中にインパクトを与えたいのか。後者だとしたら、組織の規模を大きくしなければいけないんです。
我々はいま、それができるステージに上がってきた。そこに誇りを持ってチャレンジしてほしいですね。
守屋:
あとは、顧客起点組織が組織として定着すれば、既存のプロダクトの価値提供範囲に囚われずに、顧客のニーズをどんどんプロダクトに反映させて、顧客を起点にした新たなサービスや事業が開発されていく。そんな絵が描いていけるようになりますよね。
太田:
顧客起点組織はレベニュー組織ではないんですよね。いまあるプロダクトをどう売るかではなく、顧客のニーズに応じたソリューションを提供していかなければいけない。既存プロダクトで顧客ニーズを満たせなければ、新サービスを立ち上げていく。あるいは、M&Aをする、外部パートナーと組む。要するに、事業開発をする組織なんです。
顧客起点だからこそ、現時点では無いものを生み出さなければいけない。だから、顧客起点組織にすることで逆にチャンスが広がるし、チャレンジできる組織になると思っています。
守屋:
今後はたとえばSPEEDAだったら、顧客がSPEEDAを活用するニーズはもちろん、周辺領域の顧客のニーズも徹底的に把握して、場合によっては顧客に外部サービスをつなげたり、外部サービスとSPEEDAを連携させたりして提案するようなこともやっていく組織にしていくことが求められていきます。
そうすると、「足りないものは自分たちでつくっていこう」という発想になっていく。プロダクト起点であっちにこっちにサービスをつくるのではなく、顧客を起点に解像度を高めたうえでサービスや事業をつくっていきたいですね。
編集後記
今回のインタビューで、新組織に対する解像度がよりクリアになりました。「え、これはどうするんだろう?」と思っていたことも1つひとつに明確な考えがあり、聞けばすぐに回答が返ってきて、だからこのタイミングでの組織転換なのか! と腹落ちした感覚です。各組織の定例ミーティングなども設定され、みんな一丸となって顧客に向き合っているのを目にするたび、今回の組織転換の走り出しは順調に見えます。ただ、インタビュー内で守屋さんが話してくれたように、組織を跨ぐ異動やイネーブルメントの取り組みはまだこれから。Uzabase Journalでも組織転換のその後を、引き続き追いかけていきます!