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エキスパートの「知見」をつなぎ、顧客の成長に貢献する。知的探究心を刺激するエキスパート リサーチ事業のシゴト

エキスパートの「知見」をつなぎ、顧客の成長に貢献する。知的探究心を刺激するエキスパート リサーチ事業のシゴト

最大560業界+最先端領域に精通したエキスパートの知見を、スピーディに獲得できるスピーダ エキスパートリサーチ。顧客の多様なニーズに合わせて、各界のエキスパートをつなぐ役割を担うエキスパートリサーチ組織は、ニーズ拡大に伴い組織も拡大途上にあります。NewJoiner(中途入社メンバー)も多く活躍する同組織の雰囲気や、エキスパートリサーチ事業の面白さ、今後に向けての想いを、2人のリーダーにじっくり聞きました。

清田 有紀子

清田 有紀子YUKIKO SEITAスピーダ事業 Expert Research Domain チームリーダー

大学卒業後、外務省に入り、人材育成分野の政府開発援助(ODA)の政策立案に従事した後、コンサルティングファームのアクセンチュアにて国内大手企業向けにDX人材育成やDX戦略策定...

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佐藤 成美

佐藤 成美NARIMI SATOスピーダ事業 Expert Research Domain チームリーダー

大学卒業後、BPO会社に入社。新規事業創出やオフショアBPO検討、シェアードサービス推進事業等に携わり、その後、新規事業である人事BPOの責任者として新規営業から導入、運用管...

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目次

「知見」を民主化して企業支援の手段に

はじめに、2人がユーザベースに入社した経緯を教えてください。

清田 有紀子(以下「清田」):
私はキャリアとしてはユーザベースが3社目になるんですが、すべてに共通しているのが日本企業の支援ですね。
 
最初のキャリアは外務省で、ポーランドとラオスに駐在して外交政策や途上国開発政策に携わっていました。大学時代には公共政策を学んで、ずっと政治や政策に興味を持っていたんですが、在外の大使館で日系企業の支援に多く関わってみて、「日本の強みの源泉は経済だ」と思うようになったんです。
 
その後出産のタイミングで日本に帰国すると同時に、アクセンチュアに転職しました。そこでDX人材育成プロジェクトを通じて日本企業を支援する活動をしていたんですが、クライアントが自立自走できるようになるためには、もっと新しい切り口の支援がありえるんじゃないか……とぼんやり考えるようになって。
 
そんなとき、相談に乗ってもらっていたキャリアコンサルタントの方からミーミル(※)を紹介されたんです。他にもいくつかテック系スタートアップの面接を受けましたが、「人の頭の中にある知見」を民主化して企業支援の手段にするという事業内容に将来性を感じて、入社を決めました。

株式会社ミーミル:ユーザベースのグループ会社。清田・佐藤はミーミル所属。

川口さん(川口 荘史/ミーミル 代表取締役 兼 スピーダ事業 上級執行役員)や守屋さん(守屋 俊史/ミーミル取締役 兼 スピーダ事業CHRO)、野口さん(野口 知佳/ミーミル執行役員 Research担当)との面接を通じて、この人たちと一緒に仕事したいとイメージできたことも大きかったですね。
 
佐藤 成美(以下「佐藤」):
私は新卒で入社した会社で幅広い経験を積ませていただいていて、ミーミルが初めての転職でした。前職は従業員数200名ほどのベンチャー気質のある会社で、自分たちのやりたいことを提案して、合宿でいろいろ話し合って実行してくような雰囲気でした。
 
すごく好きな会社だったんですが、産休・育休を取って復帰したタイミングで株主が変わり、物事の進め方など大きく企業文化が変わってしまった感があったんです。加えて、ずっとお世話になっていた上司や仲間の退職、私自身の引っ越し、会社の移転などが重なり、転職を考え始めました。

対談風景

佐藤:
ミーミルを知ったのは、私も転職エージェントからの紹介がキッカケでしたね。前職ではいくつか新規事業に携わっていたんですが、そのときずっと課題を感じていたのが、新規事業立ち上げにものすごい時間がかかることでした。
 
新規事業を立ち上げる際は現状分析をして、他社事例を学んで、分析結果をもとに3ヵ年計画などを立てるわけですが、最初の情報収集の段階で企業情報データベースから情報を入手して、それを読み込み、資料を作る一連の過程も含めると毎回半年ほどかかっていたんです。これをもっと短縮できないかと常に思っていました。
 
ミーミルの事業を知ったとき、私の中にあったこの課題感とリンクしたんですよね。「こんなビジネスがあったのか!」って。人の「知」を流通させるという考え方に驚きを覚えたと共に、未来の情報を提供できるなんて、これは日本企業からのニーズは高いのではないかと確信しました。

あと、私自身が大事にしている価値観のひとつに、「ビジネスを通して社会貢献をする」というのがあり、この点ともリンクしてとてもワクワクし入社を決めました。

クライアント特性によってチームを分けて、エキスパートリサーチに関する相談に対応

Expert Research Domainの組織構成を教えてください。

清田:
顧客層を軸に、事業会社向けのチームとコンサルティングファーム向けのチームに分かれています。
 
いずれもリサーチ業務のプロセスにはあまり差異はありませんが、求められるスピード感や特性が異なります。コンサルティングファームはエキスパートの要件が明確で、回答にかなりのスピードが求められるのに対して、事業会社はまだ要件はフワッとしていることが多い。また、インタビューに加えてサーベイ、レクチャー、セミナーといった多様な商材の提供が求められるのも事業会社の特徴です。こうした違いがあることから、クライアントの特性ごとにチームを分けることになりました。

具体的に、2人が所属するExpert Research Domainはどんな機能を持った組織なんですか?

 佐藤:
エキスパートリサーチ事業は幅広い顧客からエキスパートリサーチ利用に関する相談を受ける組織です。
 
相談の内容としては、インタビューやサーベイを想定しているクライアントからの問い合わせが多いですね。スピーダの使い方や、そもそもエキスパートネットワークサービスをどう使っていいかわからないお客様に対しては、カスタマーサクセス(CS)に入ってもらっています。
 
清田:
クライアントから相談を受けたらヒアリングをもとに要件を整理して、それに該当するエキスパートをデータベース上で探してクライアントに提案するのが一連の流れです。
 
データベース上でマッチしそうなエキスパートが見つかったら、クライアントが求める知見を持っているかどうかの確認(スクリーニング)をして、インタビューをセットします。
 
CSが間に入る場合も、CS経由で案件依頼を受けた後の工程は私たちが巻き取って、クライアントとの折衝から一気通貫で対応します。

清田有紀子
チームメンバーの中で、案件数や担当はどう割り振っているんですか?

清田:
チームには10人以上のメンバーがいて、効率的に対応するためにユニットを2つに分けているんですが、個々の得意領域やキャパシティの状況などを見てユニットリーダーが案件を割り振っていますね。ただ、現状NewJoiner(中途入社メンバー)がとても多いので、それぞれの立ち上がり状況や商材を扱えるかどうかといった要素も加味して割り振りをしています。

NewJoinerも早期活躍。「Will」を尊重する環境がある

お話を聞いていると業務の難易度が高い印象を受けるんですが、若手も早期活躍しているそうですね。

清田:
2023年下期に若手のNewJoinerを採用するという決断をしたんですが、実は当初はとても不安でした。
 
私たちがリーダーを務める事業会社向けのチームは、問い合わせをいただく時点で要件がフワッとしているので、そこから要件定義をした後、仮説をもってエキスパートをサーチし、そのエキスパートを顧客に提案していく活動がメインとなります。そうした特性から、長らく事業会社チームはシニアメンバー中心で構成していたため、若手のNewJoinerに対応できるかわからない部分がありました。
 
佐藤:
ただ、フタを開けてみると、2024年1月頃に入社した20代の若手NewJoiner4〜5人、みんな立ち上がりがものすごく早かったんですよね。
 
若手メンバーがみんなとても優秀で、それぞれの強みを活かして素晴らしい働きを発揮してくれました。もちろん慣れるまで一定の期間は必要ですが、ある程度の案件数をこなせば比較的スムーズに案件を進められるようにはなるのかなと思いました。
 
もちろん、顧客のニーズにマッチした提案をするといった部分は今後もっと磨く必要はありますが、案件を回せるようになるという意味では若手やNewJoinerでも早期に戦力になっていますね。

佐藤成美
入社してから独り立ちするまでにどれくらいの期間がかかるんですか?

佐藤:
3ヵ月ぐらいですかね。
 
清田:
「あなたのためにエキスパートを見つけてきます!」という顧客に対するコミットには営業に近い要素があると思うんですが、そこは若いメンバーの中にも得意な人が多いですね。

3〜4ヵ月は早いですね。クライアントやエキスパートとのやり取りで、NewJoinerはどんな点に苦労していますか?

 清田:
やはり関係者との期待値調整でしょうか。たとえばエキスパートからスクリーニング質問に対する回答をいただいたものの、インタビュー実施に至らないケースもあり、それがクレームにつながることがあるんです。
 
ただ、これはオペレーションの設計で回避できる部分もあるので、できる限り先回りしてフォローするなど対策を講じています。

また、クライアントとの間でも、いざインタビューをしてみたら、クライアントが求めていた知見をエキスパートは持ち合わせていなかった、というフィードバックをいただくこともあります。
 
そのような時はクライアントに「多様なエキスパートを紹介できることにエキスパートリサーチの価値があります」と説明してもらうよう伝えています。クライアント自身が、エキスパートの経験内容やスクリーニング質問への回答から、最適と考えるエキスパートを選んでいただいていると考えているためです。

対談風景
若手メンバーにしてみたら、顧客の期待に添えなかったというのがストレスの要因になりそうですね。そうした気持ちの切り替え方は、どうアドバイスしているんですか?

清田:
あなたが原因でそういう事態になっているわけではないと伝えています。サービスの形態上、100%防ぐことは難しいと。そのうえで改善できるポイントを一緒に考え、変えられるところは変えながら、ガイドラインを伝えています。

佐藤:
ちなみに、うちのチームは人材紹介業出身のメンバーが多いんですが、それは業態が似ているからかもしれないですね。クライアントの依頼に対して「こういうエキスパートいますよ」と紹介する点はよく似ていると思います。

なるほど。このチームでの業務を通して、どんなキャリアパスが描けると思いますか。

清田:
Expert Research Domainの中で、事業会社向けチームからコンサルファーム向けのチームへの異動はあり得るし、もちろん事業会社向けチームの中で、ユニット間の行き来もあります。
 
案件対応を通じて、顧客への伴走や調査提案によりフォーカスしたいと思えば、CSなど営業へのキャリアパスもあり、実際にCSへ異動したメンバーもいます。逆にエキスパートに対する施策に関心があれば、Expert Marketing Divisionもあり得ます。また、人事に関心がある人も多くて、HRに異動した人もいますね。
 
佐藤:
ユニット間での異動や事業会社向けチームからコンサルファーム向けチームへの異動は、本人からの希望もリーダーからの打診も、両方あり得ます。
 
私がユーザベースに入社して驚いたのは、本人のWillをすごく大事にしてくれる会社なんだなというところでしたね。もちろんWillを叶えるためには事業が成長していないと叶える事もできないので、人の成長部分と事業成長のバランスを見ながら本人とも話をしています。

まずはリサーチ業務でキャリアを積んでほしいですが、リサーチとして顧客やエキスパートに伴走した経験が、次のキャリアの可能性を広げることは間違いないと思っています。

扱うテーマはさまざま。知的探究心が刺激されるワクワク感

2人がExpert Research Domainの仕事でどんなところにワクワク・ヒリヒリを感じているか教えてください。

清田:
有難いことに事業がどんどん成長して拡大していること、それに伴って組織も拡大しているところにワクワクしますね。多様な人材が加わり、チームに新しい風を吹かせてもらっている。既存メンバーからも新しいメンバーからも、「チームエンゲージメントを高めていきたい」という前向きな姿勢を感じます。
 
一方で、NewJoinerが業務内容やカルチャー面で前職とのギャップを感じて悩んでいるようなとき、じっくり寄り添う時間がなかなかとれないことを歯がゆく感じることもあります。然るべきタイミングで、きちんとサポートできるようになっていきたいです。
 
佐藤:
そうですね。私はいまこの急成長期にチームリーダーの役割をいただいて、事業会社チームの次のフェーズを考え、構築していく過程に携われていることが楽しいし、ワクワクしますね。
 
一方で、課題もたくさんあります。急成長している組織ゆえに仕組みが整っていない部分も多いので、制度や考え方をつくり込んでいかなければいけない。けれども、もっとクライアントやエキスパートに寄り添いたい気持ちもあって。そうしたジレンマを感じますね。とにかく時間が足りません!
 
あと、リーダーとしての仕事も大切ですが、現場に出ることが少なくなって、現場感がなくなるのもこわいんです。たとえばエキスパートの方からクレームがあったとき、すぐに現場でのカンを取り戻して対応できない自分がいる、という。

佐藤成美
ユーザベースに入社したNewJoinerから、「思った以上にカオスです」と言われることが多いんですが、Expert Research Domainはそのカオスを楽しめる人、これから仕組みをつくっていくことにワクワクできる人が向いているんでしょうか。

清田:
おっしゃる通りですね。
 
佐藤:
人材紹介会社と業態が似ているという話がありましたが、人材紹介はビジネスモデルが決まっているんですよね。エキスパートリサーチは新しい市場なので、決まりきった場所でないところでチャレンジしたい、顧客貢献したいという部分にWillがある人には向いていると思います。
 
調査テーマにもいろいろなものがあるので、知的探究心が強い人にとってはすごく楽しいと思いますね。
 
清田:
人材紹介会社の顧客が抱える課題が採用や雇用なのに対し、エキスパートリサーチの顧客が向き合う課題は採用や雇用に限られません。それぞれの業界、事業フェーズ、トレンド毎に全く違ったテーマや背景があり、そこに触れられるところに圧倒的なワクワクがありますよね。

ものすごく世界が広がりそうですね。

清田:
そうなんです。一方で、NewJoinerの方によく「自分は業界の知識がないんですが大丈夫ですか?」と聞かれるんですが、すべての知識を広く深く持つ必要はないと思っています。その領域について詳しい誰かに聞くでもいいし、スピーダやインターネット上で情報を調べることもできる。
 
自分がすべてを知っている必要はなくて、周囲の知識を活用しながら、補強していけばいいんです。

対談風景

急成長期ゆえの成長痛を乗り越え、拡大していく組織に

Expert Research Domainは組織が拡大していく途上にあるわけですが、感じている課題は何ですか?

清田:
リソース面での課題が大きいですね。幸いなことに依頼数が増えています。人材紹介のような形でクライアントとエキスパートの間に入るという業務特性上、人が介在する価値はやはり重要な部分としてあるため、やはり人手の課題は常にあります。
 
もっともっとテクノロジーやシステムを使って効率化して、より生産性を上げて対応できるようにしていきたいと考えています。
 
佐藤:
エキスパートのデータベースはミーミルが独自で開発していて、エキスパートリサーチに合わせた形になっているんですが、顧客とのインターフェイスであるスピーダは開発の経緯が違うこともあり、今はそういった開発の面でも試行錯誤です。 

清田:
依頼数増加にあわせて組織拡大を急ぎつつ、プロダクト開発でできることもたくさんある。長期で取り組みたいことも考えたいと、常にヒリヒリしています。

その辺りは急成長期ゆえの成長痛でもありますね。

佐藤:
そうですね。今後システムが整っていけば、案件数が増えても強く耐えられる組織になっていくと思います。海外展開も始まりますし、拡大は見えているので、手を打っていきたいですね。

トップ画像撮影のオフショット

編集後記

ユーザベースを支える独自の経済情報基盤を構成する3つの要素。その中のひとつが「エキスパート(人の知見)」です。エキスパートリサーチ事業の中核を担うチームは2人リーダー体制と聞いて、どんな2人なのか、どう役割分担をしているのか、以前より興味を持っていました。しかもNewJoinerが早期に活躍しまくっているらしい。これは取材せねば! と実現した今回のインタビュー。組織構成など基本的な解像度が上がったのはもちろん、リーダー2人のエキスパートリサーチ事業にかける意気込みや、メンバーに対する想いなどをたっぷり聞くことができました。今後の展開も楽しみです!

執筆:宮原 智子 / 撮影・編集:筒井 智子
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