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通信業界の未来を創る──ソリューション営業の力で変革を支える「Must Have」のプロダクトに

通信業界の未来を創る──ソリューション営業の力で変革を支える「Must Have」のプロダクトに

スピーダの大企業グループ総合支援組織は、「通信」「金融・商社」「SIer」「製造」とお客様の領域ごとにチームが分かれています。各領域における営業戦略や顧客が抱える課題、そこで形成できるビジネスパーソンとしての市場価値などを各領域のリーダーに聞くシリーズ。今回は、スピーダ事業 大企業グループ総合支援 通信業界担当 執行役員の吉田佑弥にじっくり話を聞きました。

吉田 佑弥

吉田 佑弥YUYA YOSHIDA執行役員 スピーダ事業 通信領域アカウント統括

2010年株式会社サイバーエージェントへ新卒入社。インターネット広告事業本部に配属。4年目に、マネージャーに昇格。その後リスティング市場の新規開拓組織の立ち上げを機に異動。社...

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目次

変化の著しい業界で、「チェンジマネジメント」が求められる通信領域

吉田さんが担当する通信領域では、どんな部門からの引き合いが多いですか?

法人営業領域とリサーチ領域が増えています。
 
法人営業の領域は、エンタープライズ向け営業、SMB(Small and Medium-sized Business/中小企業)向け営業、ほかにも企画系の部門やマーケティング機能、CSなど幅広い機能がありますね。こうした部門においてターゲティングやアカウントプランニング、営業前のリサーチ活動などにサービスをご活用いただいています。
 
リサーチ領域でいうと、事業開発部門や技術系部門、経営企画部門からのお問い合わせが多いですね。
 
事業開発部門の場合、事業開発におけるマーケットリサーチや、サービスやプロダクトをどのように顧客に届けるかを定める、Go-to-Market戦略の立案を支援しています。技術系の部門に関しては、技術をベースに新しい事業を展開する中で、グローバルのテックトレンドやマーケットニーズをリサーチする用途が多いですね。

もうひとつ、経営企画部門が中期経営計画を作成する際の、競合の動きや参入すべき市場の調査や、スタートアップ投資・アライアンスパートナー探しにおけるリサーチにもスピーダをご活用いただいています。 

直近でもっとも印象的な提案事例を教えてください。

10年ほど前から継続してお取引きいただいている企業様へのご提案ですね。同社の契約の母体となっている部門との信頼関係を築いてくれたのが、当時のエンタープライズチームでした。
 
スピーダは、ご活用いただくのに少し習熟が必要なサービスなので、初期のオンボーディングが重要となります。エンタープライズチームはお客様に代わって資料をつくったり、ワークショップを企画したりと、アカウントプランをとにかく具体的につくる支援をしていたんです。そうした継続的な支援の結果、企画部門の皆さんから「スピーダはアカウントプランニングを実行できるプロダクトだ」という認知を獲得することができ、かつ信頼を得ていました。
 
そのうえで僕らが何をしたかというと、組織のキーパーソンとの接触です。このお客様は近年、通信という強力なアセットを軸にしつつ、顧客のDX化のご支援、AIを活用した業務改革などプラスアルファでソリューション事業を展開されています。さまざまな問題解決ができる一方で、大量にある自社のソリューションを顧客に最適な形でどのように提案すればよいのかを悩まれていました。

スピーダ事業 大企業グループ総合支援 通信業界担当 執行役員の吉田佑弥

通信業界にいる方々は、これまで日本のインフラを支えてきました。そのうえで昨今は通信事業を軸に変革を求められ、それを成し遂げている素晴らしい業界だと考えています。そのうえで、さらにお客様に価値提供していくための手段として、スピーダが伴走させていただいている認識です。

定量・定性で「成果を返す」ことにこだわる

顧客との長期的な関係性を構築するうえで、吉田さんが重視・工夫していることはなんですか?

「成果を返す」という姿勢ですね。いくらきれいなことを言っても、現場の方が本当に満足する成果をお返しできなければだめだと思っていて。
 
お客様が私たちに期待してくださっているのは、ユーザベースのサービスを導入したことで業務の何が変わったか、願いが叶ったか、目標に近づいたかです。そのTo Be像を叶えるために顧客に寄り添い実現することが何よりも大切です。
 
もうひとつは徹底的な「Give」ですね。お客様が本当に求めているものを、サービスの枠を超えてでもとにかくGiveしていく。それは情報やネットワーク、示唆や気づきかもしれません。お客様に対してペイフォワードの精神で愚直にGiveをしていくことを大事にしています。

成果の定義は直接性の高いものでなくてもいいとのことですが、具体的には何を成果とみなせばいいんでしょう。

やはり一番は売上だと思います。ユーザベースのサービスを導入したことで、お客様の売上を伸ばす。これは僕らも諦めたくはない「成果」の具体的な形です。
 
一方で、お客様の売上が上がった際、それはスピーダの導入のみの成果だとは言い切れませんよね。もちろんそれが売上向上の一助にはなっていると思いますが、たまたま与件がドンピシャな案件が多かったなど、スピーダ以外の要因も多分にあるはずです。
 
成果の定義は直接性の高いものでなくていいと言ったのはそこで、僕は導入する狙い、目的を大切にしているんです。
 
たとえばお客様が自社のクライアントにヒアリングする際も、スピーダを使ってPoV(※)を書いてクライアントに提示することで、会話が盛り上がり、従来のヒアリングでは聞き出せなかった情報を得ることができるかもしれません。そうしたビジョン・セリング(※)ができるようになることを、お客様に「よかった」と思ってもらえるかどうか。数字から逃れてはいけないと思う一方で、こうした定性的な指標も大切にしたいと思っています。

Point of View:お客様の課題の根幹に対して、ユーザベースがどんな価値を提供できるかを示したもの

ビジョン・セリング:顧客の理想とする姿や中長期の未来(ビジョン)に対し、それを実現するためのサポートや提案をする営業スタイル

スピーダ事業 大企業グループ総合支援 通信業界担当 執行役員の吉田佑弥
ふたつ目のGiveについて、先ほどの大手通信企業様の事例では、どのようなGiveをしたんですか?

営業改革の中心人物の方に、どうすればGiveできるかを徹底的に考えました。その方から現状のお困りごとを伺う中で、社内の営業改革を推進するうえでのお悩みが出てきました。
 
僕はその話を伺って、「社内マーケティングをして改革の機運を高めたらどうか」とご提案させていただきました。マネジメントレイヤーから現場の皆様まで幅広く社内セミナーをしてはどうかと。それらをすべてスピーダ側でプロデュースして持ち出しで実施させていただきますとお伝えしたところ、すごく喜んでくださったんです。その後、法人営業改革をテーマにセミナーを企画し、結果として数百名の方にご参加いただき高評価をいただきました。

個社向けのセミナーを開催したことで、僕らにとっても収穫がありました。ひとつは、お客様の課題に対する解像度が格段に上がったことで課題や内情に則したご提案をさせていただくことができたことです。 

それだけでなく、専門家の知見を得られるスピーダ エキスパートリサーチのトライアルも同時にご提供することでお客様課題の解決に貢献でき、また我々としても新たなニーズをいただくことができた点も収穫でした。

顧客成果を出そうとするマインドを持ち、「具体的な価値」を提供する組織でありたい

吉田さんがユーザベースのエンタープライズセールスにおいて、最も必要だと思うスキルやマインドを教えてください。

顧客深耕や社内で「Big Deal」と呼んでいる大きな契約もとても重要ですが、あくまでそれはユーザベース都合であり、Howでしかありません。そうでなく、顧客に具体的にどのような価値を返すかを主眼に考えること。そのために最も重要なのは、顧客成果を出そうとするマインドですね。お客様の変革をリードするために何ができるかを、徹底的に考え抜けるかどうかだと考えています。
 
たとえば「スピーダを使いこなせないので解約します」というお客様に対して「こういう使い方もできますよ」と解約を阻止しにいくのは、リニューアルのタイミングでは営業として正しい姿だとは思います。でも理想は「プロダクトに満足しています」と言われ続けること。
 
成果って、必ずしも「売上が上がった」「事業が立ち上がった」といった直接性の高いものではなくてもいいと思うんです。すぐにお客様の業務改善や売上貢献につながらなかったとしても、「これまで出来なかったことが、できるようになりました」とどれだけ現場に言ってもらえるかが重要なんです。
 
解約のアラートが出たタイミングで慌てて手を打つのではなく、そもそもMust Haveの存在になること。かつ、現場だけでなく経営陣からも、スピーダが重要なピースになっていると認識してもらえる営業組織でありたいですね。
 
何がセンターピンかで打ち手が異なるので、いま話したことの実現はものすごく難しいのは承知しています。でもそれをあえてスタンスとして持ち続けて営業活動ができる、そんな空気をまとった組織でありたいと思っています。

インタビュー風景
そうした組織になるために、今後強化したいポイントがあれば教えてください。

まずは顧客をリスペクトしつつ指導・先導できるリーダーシップが必要だと思っています。
 
お客様にはお客様の力学があるので、教科書に書いてあるような理想だけを話す人、逆に、お客様に飲まれて何も話せなくなってしまう人、どちらもダメだと思うんです。
 
部門ごとに各領域のオーナーの思惑があるから、それを無視して正論を言っても進まない。確かな共通言語をつくって、少しでも前進させていく。これが本当に難しい。
 
それを踏まえた提案をして、「確かにうちもやらないといけないよね」と思っていただけるかどうかは、営業担当者のリーダーシップにかかっていると思います。そのためには、各領域における専門性を身につける必要がありますね。

日本を代表する企業のトップアジェンダに伴走できる醍醐味がある

いま通信領域のアカウントエグゼクティブとして、どんな経験ができていますか?

日本を代表する企業が抱える経営ど真ん中のトップアジェンダに伴走できることですね。しかも机上の空論ではなく、僕らも責任を持って、ある意味共同体として実務レベルで伴走できます。佐久間(佐久間 衡/元ユーザベースCo-CEO)が「SaaSは嘘のない世界」だという言い方をしていましたが、その通りだと思います。

また最近ではSaasサービスをご提供するだけではなく、我々もハンズオンでプロジェクトに入りこませていただき、お客様をご支援する機会をいただくこともあります。
  
もちろん勝負はここからではあるんですが、こうした機会を会社の下駄を履かせてもらってできるのは、本当に貴重な経験になりますね。

スピーダ事業 大企業グループ総合支援 通信業界担当 執行役員の吉田佑弥
ビジネスパーソンとして、市場価値が高まりそうですね。

営業スキルはもちろん、技術や経営、M&Aなど、高い専門性が身につきます。
 
僕自身、通信という特定領域に関しては、お客様と同じ次元で話ができるように業界について詳しくありたいと思っていますし、実務に伴走できるだけの本質的な知識やスキルを身につけなければダメだと考えています。
 
日本有数の大企業の組織変更に関する提案は非常にハードルが高いですが、「プロジェクトを必ず成功させて、それを起点に経営を変えていくお手伝いをする」ためにも、専門領域についてもっと学びを深める必要があります。
 
スキルや知識を自分で身につける以外に、ユーザベースにはこれまで多くのお客様とともにつくってきた膨大なユースケースがあります。それを武器に話ができることも我々の強みだと考えています。
 
こうした体験をしながら一歩づつ実務家になっていくのは、スピーダのアカウントエグゼクティブだからこそ経験できることではないかと実感しています。

スピーダにはリリースされて15年以上が経ち、蓄積されたユースケースの膨大さと改善の速さという、プロダクトとしての力強さがあります。今後も通信業界にとってのMust Haveのプロダクトを目指していきたいです。

スピーダ事業 大企業グループ総合支援 通信業界担当 執行役員の吉田佑弥

編集後記

前回の金融・商社領域と比較すると、やはり業界特性によって求められることやお客様の課題は大きく異なることが分かりました。一方、必要なスキルや身につく経験など共通点もいくつか見えてきました。通信領域ではすでに大きなお取り引きも生まれています。これはお客様からユーザベースに大きな期待をいただいているということ。今回のインタビューで、その期待にまっすぐ応えようとしているのが伝わってきて、私も背筋が伸びました。

執筆:宮原 智子 / デザイン:金子 華子 / 撮影・編集:筒井 智子
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