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顧客解像度が高ければ、プロダクト価値は何百倍にもできる──製造業領域を担うスピーダエンタープライズセールスの魅力

顧客解像度が高ければ、プロダクト価値は何百倍にもできる──製造業領域を担うスピーダエンタープライズセールスの魅力

スピーダの大企業アカウント統括本部は、「通信」「金融・商社」「SIer」「製造」と4つの領域でチームが分かれています。各領域における営業戦略や顧客が抱える課題、そこで形成できるビジネスパーソンとしての市場価値などを各領域のリーダーに聞くシリーズ。今回は、スピーダ事業 大企業グループ総合支援組織 メーカー領域リーダー 楠和利に、業務のやりがいや課題、製造業界担当チームに参画することで得られる市場価値など、じっくり話を聞きました。

楠 和利

楠 和利kAZUTOSHI KUSUNOKIスピーダ事業 製造業界担当 ゼネラルマネージャー

新卒で日本アイ・ビー・エム株式会社に入社。AI、サイバーセキュリティーの事業に携わり、主にインフラ関連のお客様へのご提案活動とプロジェクトに従事。2020年より株式会社ユーザ...

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目次

「事業開発」「未来戦略」「AI」の3本軸での提案が加速

はじめに、大企業アカウント統括本部のメーカー担当チームではどんな部門からの引き合いが多いのか、教えてください。

約85%が予算や事業計画を練る事業企画部門や、いわゆる全社戦略などを考える経営企画部門、さらに最近では未来を見据えてどこに投資をするか、どこと組むか、未来戦略を考える独立した部門も新設する企業が多くご支援することが増えています。約15%が営業や人事、調達業務でご活用いただいています。

なかでも前年よりも圧倒的に相談が増えたと感じるのは、「事業開発」「未来戦略」「AI」の3つです。
 
日本のメーカーは長い歴史で技術と事業、そして人を育ててきた企業が多く、自社への誇りを強く持ちながら、かつ現場を大事にする文化が強い印象です。メーカーの特徴として、新しい事業を考える際は、自社の強みを活かす形で進むことが非常に面白いです。たとえば電池や鉄道、ダムといった、自分たちの具体的なアセット・技術を起点に事業開発を考えるんですね。

スピーダ事業 大企業グループ総合支援組織 メーカー領域リーダー 楠和利

一見、アセットが固定されているため制約があるように思いますが、そこには前述の通り現場に携わる人たちの歴史があり、とてもロマン溢れる世界です。

未来戦略というのは、企業によって2030年または2050年というスパンで未来を考え、自社のあるべき姿をバックキャストで考えたい、というご相談が増えている気がします。

たとえば、日本を代表するあるメーカーでは、従来特定の業界・企業を担当している事業部がありましたが、「2030年以降のその業界の当たり前は、一体何になっているか?」と問いを立て、未来に必要な技術開発や今時点から提案できるシナリオを思考し、営業・開発・知財・戦略組織が一体となって顧客に向き合うことを仕組み化できるよう挑戦し始めています。

もうひとつ例を挙げると、出版業界のお客様では、昨今の出版部数の大幅な減少を受け、この状況を改善するために「出版事業をどう伸ばすか」と自社を主語に置くのではなく、「どうしたら本を読んでもらえるか」という読者や書店の目線で社会課題として捉える必要があるとおっしゃいます。

これは映画の世界でも同じです。レコードも、マニアックな嗜好品になりつつありますよね。紙の本のように昔からあって決して途絶えてはいないけど、明確に市場が小さくなっている中で新しい価値を生み出し業界を維持したり発展させていくことに挑戦している別の業界の方々にヒントを得ることができるかもしれない、と自社や業界に固執せずに、未来の洞察を得るために他業界での取り組みをはじめとする、さまざまな知見を探す調査のご支援をしています。
 
こうした「未来の当たり前」を考えるような仕組みを生んでいけないかと相談されることが多いですね。スピーダには海外の事例もあるし、即日で知見のある専門家にアクセスするための手段もあるし、技術動向探索もできる。未来戦略を構築するにはものすごく親和性の高いアセットなんです。

もうひとつが「AI」ですね。

そうですね。一番ケースが多いのは営業活動でのシーンにおけるAIの活用に関するお話です。AIを活用し、営業のスキルを向上させたい、管理職の負担を軽減したい。また、自社のデータとユーザベースが持つデータを融合して活用し、全社規模で営業の行動変容を起こしていきたいなど、AIに関する期待はとても強く感じます。

最近そうした、「全社規模で営業を変えていく」というのが世の中の潮流になっていますよね。なぜなんでしょう。

理由は明確で、営業の利益率や生産性を上げる必要があるからです。そのためには営業のムダを省いて、1件あたりのコストを低くして売っていかなければならない。これがどの会社にも共通して言えるようになってきていると思います。
 
もうひとつ、製造業各社では長年言われ続けていますが、「モノ売りからコト売り」への変革により本腰を入れて取り組まれているように感じます。これまでのように「この商品はこんなことができますよ」ではなく、お客様の課題から「こんな世界観がつくれますよ」という提案をしていく。製造業各社もハードだけではなく、IoTと組み合わせたソリューション販売にシフトされているので、変化をものすごく感じます。

これまで、研修や単なるデータだけでは大きな変革につながりにくいことを経験されてきたお客様からは、全社規模の変革にはデータ×AI×確かな成功事例の観点でユーザベースへの期待を強く感じています。

スピーダ事業 大企業グループ総合支援組織 メーカー領域リーダー 楠和利

顧客視点でプラットフォームとしての価値を高める

直近で、楠さんがもっとも心震えた提案を教えてください。

日本を代表する大手メーカーの経営層の方にお会いして、スピーダの世界観をお伝えした際、「間違いなく大手企業様の経営層が抱えるアジェンダに対し、ユーザベースが解決策を提示できるようになってきている」と実感した瞬間ですね。
 
メーカーとして新規事業開発に取り組まなければならない局面が続いており、「スピーダなら課題を解決してくれそうだ」という反応を目の前でいただけたり、プロダクトの中で我々が開発したAIが動く様子を見て「営業におけるコストカットが期待できる」と経営層の方々から高く評価いただき、お客様に高い期待を届けられるようになってきていると感じました。
 
2024年1月からこれまでのプロダクト軸から顧客起点軸の組織に転換して、大企業グループ総合支援組織という組織を設けたことが正解だったなと思うことがあります。お客様の企業全体を見て、より実態に即した課題解決策が提示できるようになったと感じることが増えているんです。

以前のプロダクト軸のアプローチでは、特定の部門との関係構築が中心となり、企業全体を俯瞰する機会が限られていました。新規事業開発をする際、経営企画部署は研究開発や事業部とタッグを組むわけですが、プロダクト軸だとプロダクトを導入してくれた部署しか見えていないことも多かったんです。
 
一方で、今の体制では「経営企画〜研究開発〜事業部〜マーケティング〜営業」という組織の全体図が見えてくると、事業開発において経営企画が何を考え、研究開発がどんな動きをし、事業部がGo-To-Market戦略(※)をどう描いているか、一連の流れが見えてくる。

Go-To-Market戦略:企業が自社の製品やサービスをどのように顧客に届けるかをまとめた戦略・計画

そうすると顧客が感じる本当の意味でのプロダクトの価値訴求や、どんなストーリーで伝えるべきか、真にお客様にとって必要な支援・提案は何かがわかるようになってきたんです。

スピーダ事業 大企業グループ総合支援組織 メーカー領域リーダー 楠和利
組織の全体像が見えてきた結果、経営により近いところに提案ができるようになったと。

そうです。もうひとつ興味深いのが、スピーダをプラットフォームにした社内のつながりが生まれることですね。
 
あるお客様では、スピーダを全社規模でご導入いただき、各事業部に展開する動きがあります。 

スピーダには24時間以内に専門家のコメントを得られるFLASH Opinionというサービスがありますが、そのサービスを使うと社内の誰が、どんな質問をしているかが相互に見えます。
 
そうすると、たとえば「XX事業部がヘルスケア事業に関する専門家への質問をしている」ということが社内のあらゆるメンバーに周知でき、過去に調査をしたことがある部門は助言を行えたり、横断の新規事業開発の支援部門はその事業部の動きをキャッチして「一緒に事業をつくろう」と声をかけたりすることができるわけです。
 
これまでのユーザベースなら、経営企画、研究開発という形でそれぞれ単独の組織内に展開しており、情報が閉じてしまっていたんですが、今の組織になりより顧客視点の提案ができるようになったことで全社横断あらゆる部門がクロスして、いろいろなプロジェクトが生まれる瞬間に立ち会えるようになったんです。
 
スピーダをプラットフォームとしてお客様の社内全体がつながり始める。そう考えると、スピーダはお客様の「真ん中」に位置できるプロダクトなのではと思うようになりましたね。

巻き込み力とフィードバックを受け止める力で、成長を加速させる

エンタープライズ企業のお客様と長期的な関係性を構築するために、楠さんが重視・工夫していることを教えてください。

僕は「顧客に営業している」というつもりはほぼないんです。それよりも、「ユーザベースのリソースを活用して、お客様と一緒に面白いプロジェクトをしよう」という感覚ですね。常に「自分がお客様組織のプロジェクト推進者だったら」という視点でいるようにしています。
 
シンプルにお客様とワクワクすることに挑戦したい、それだけですね。

いまのスピーダのエンタープライズセールスにおいて、最も必要だと思うスキルやマインドは何だと思いますか?

たくさんの人を巻き込む力ですね。前述した「自分がお客様組織のプロジェクト推進者だったら」という視点を持つことが、まさにそれです。前職で営業に携わっていたときに、「自分がかかわった人数分のサイズのプロジェクトにしかならない」と言われたことがあって。確かに自分ひとりで完結できるプロジェクトに規模はついてきません。そんな提案ではお客様に良いサプライズを提供することもできないので、関係者をいかに広げられるかだと思っています。
 
ユーザベース社内で言えば、コンサルタントやエキスパートリサーチ、エンジニアなど、どんどん人を巻き込んで大きなプロジェクトを成立させたいですね。

スピーダ事業 大企業グループ総合支援組織 メーカー領域リーダー 楠和利

もうひとつは、フィードバックを受け止める力。これはものすごく大事です。メンバーを見ていると、Slackに意見を投稿しまくって、フィードバックを受けまくっている人ほど成果を残しているんですよね。
 
マインド面では、ゼロからつくる楽しさを感じられることだと思います。誰かが決めた提案書があるわけではない。自分の顧客の解像度次第でいくらでも大きな提案を描いていけます。プロジェクトの先が見込めれば、新しいサービスや支援のあり方、契約方法などをゼロベースで議論しデザインできるので、そういう環境を楽しんでほしいですね。

「プロダクト価値×顧客解像度」で課題解決のストーリーを描く

大企業アカウント統括本部のメーカー領域で、今後やりたいことを教えてください。

お客様との更なる共創です。

先述した通り新組織になり、より顧客視点に立つことができたため、10年以上お付き合いのあるお客様とも今になって気づくことができた組織の課題や、スピーダの思ってもみない活用方法などにも出会うケースが、本当に高頻度で起きています。当然お客様も毎日のように変化しており、その変化の分だけ我々の支援の在り方や提案も変化していくと思うので、常に新しいプロジェクトを作り続けたいですね。

いま大企業アカウント統括本部のメーカー担当チームに参画することで、どんな市場価値が得られると思いますか?

顧客と一緒になって、ゼロからプロジェクトをデザインし、ストーリー立ててつくっていくことができる。この経験は、ほかでは得難いものだと思いますね。
 
ユーザベースでは、「プロダクトが説明してくれる」フェーズはとっくに終わっています。お客様の課題は複雑化し、ステークホルダーもとても多い。そうなると、一側面だけからのプロダクト訴求では価値が伝わりません。

今後は「お客様の全社の目線と、提案をしている目の前のお客様の目線の両方を意識し、目の前の人と会社をどう変えられるか」というストーリーを、顧客解像度を高く持ちながら描けるかどうかが求められるようになります。

顧客解像度を高く持つことで、プロダクト価値は何百倍にもなる。これってすごくワクワクしませんか?

スピーダ事業 大企業グループ総合支援組織 メーカー領域リーダー 楠和利

編集後記

大企業アカウント統括本部の各領域を掘り下げるシリーズ、最後は製造領域を取り上げました。スピーダをプラットフォームとしてお客様の社内全体がつながり始めたというエピソードは、なるほど! と目からウロコでした。と同時に、他領域と同様、お客様からのスピーダへの大きな期待を感じ、背筋が伸びました。

執筆:宮原 智子 / デザイン:金子 華子 / 撮影・編集:筒井 智子
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